「彼女は最後にそう言った」をプレイしてみて、感動しましたがそれ以上に終わりの見せ方に驚きました。
ゲームとか映画とか、色んな物語の中で素直にハッピーエンドとして喜べないものあると思います。
「これはこれで納得できるけどそうじゃない展開が見たい!」ってやつ。
似たようなところで「エピローグをもっと見させてくれ!」って思うのも関連しますね。
あえて多くを語らない綺麗な終わり方もそれはそれでわかるのですが、もう少し物語に浸っていたい時もあります。
大抵は見る人の想像力にお任せする部分なんだと思いますが、「彼女は最後にそう言った」はというと・・・。
おすすめするのはご都合的な展開が好きだったり、ついエンディング後に妄想をしてしまう人になります。
ゲームの基本情報
- 題名 : 彼女は最後にそう言った
- 種類 : アドベンチャー / ミステリー
- 記録 : 手動
- 画面 : 縦向き固定
- 料金 : アプリ内課金あり
ゲーム性は無いに等しいがストーリーが楽しいゲーム
レトロなグラフィックから昔のRPGを彷彿とさせますが、ほぼゲーム性はないのでストーリーを楽しむのがメインとなります。

以前レビューをした「終わらない夕暮れに消えた君」と同じメーカーの作品なのですが、終わらない~もストーリーを楽しむためのゲームでした。
ゲームの進め方も基本的には全く同じでシステムもほぼほぼ同じです。
ゲームシステムについては↑のリンク先で書いていますので今回はストーリーだけに絞ってレビューします。
ただ、終わらない夕暮れの方が新しい作品なのでプレイするなら「彼女は最後にそう言った」からの方が良いです。
そのためシステムはほぼ同じですが、マップ機能(村の全体図の表示)はないです。がマップ数そんな多くないので余り困りはしないかなと。
因みに、ボリューム的には2~3時間程度で終わるので暇潰しにプレイするには丁度良い長さです。

時間ループする物語の概要
ストーリーそのものは実はありきたりかもしれません。
どちらかというと、展開をどう見せるかっていう見せ方の方が素晴らしいと感じました。
この点はゲームというスタイルをとっているところが見事にマッチしたのではないかと思います(ゲーム性はない、から矛盾するように感じるかもしれませんが、ネタバレを考慮しての抽象的な表現だとこうなります。)
ありきたり感はあれども良いお話ではありますので、軽く序章のストーリー展開を紹介したいと思います。
主人公はシンタロー。19歳。
そしてヒロインはナナミ。享年15歳。

ナナミが亡くなったショックが大きく後を引き地元を離れたシンタローだったが久しぶりに帰省する。丁度8月14日のお祭りの日であった。そしてシンタローの誕生日でもある。
夕方、母親から消印の無い手紙が届いていると言われてその手紙の内容に絶句する。


「お祭の夜 展望台で待ってます」
手紙に書かれていた名前は死んだはずのナナミであった。そして、ナナミが亡くなったのを確認したのは丁度お祭りの日。


そもそも、ナナミが亡くなった場所は普段行かないような湖であったり、天狗に連れ去られたのではないかと噂が出るほどナナミの死には様々な疑問があった。

ナナミの死にずっととらわれていたシンタローだが、手紙をきっかけに前に進むため、ナナミの死の真相を知るべく調査することを決意する。
だがしかし、0時を超え夜が明けようかと普通に次の日が訪れるはずが、気がつくと何故かまた8月14日が訪れていた。


繰り返される8月14日の意味とは?
というように物語は主人公のシンタローが、ループする8月14日の中で、再会した同級生の友人達や村人達の助けを借りながらヒロインの死の真相を解き明かしていきます。
#章について
序章から最終章までは全5章。
章の間には5秒程度の動画広告が必ず入ります。
ラストに思わずえっ!?となった物語の感想
物語の感想ですが、「どこかで見たような・・・?」とはなりつつも最初率直に「手紙は本当にナナミが出したものなのか?」「なんでナナミは死ぬことになったのか?」が気になりました。
それが予想を裏切ってくれるのかどうなのか、というところに注目していたのですが、意外と素直な物語でした。
その素直さに落胆したわけではないのですが、大どんでん返しくるかなって期待もあったので少し拍子抜け感は否めず。
でも古くから伝わる村のならわしと上手く絡めていて、まさに田舎で起こった事件な雰囲気につい惹き込まれている自分はいました。

最後は最後で納得いく終わり方ではあったのですが、「まあやっぱりそうだよね」と少し寂しくもあったところに
クリア後「えっ!?」
って感じです。笑
他の方のレビューを見てみると、クリア後のは余計だと言う人がいましたが、私はわりと無理やりでもハッピーエンドが好きで、ついハッピーエンドとなるように妄想をしたりもします。
そんな自分にとっては「まさか妄想を実現してくれるとは!?」
驚きとともに思わずニヤニヤしてしまいました。

作品タイトルに込められた意味とは?
私にとっては感動よりも驚きの方が勝ってしまったわけですが、それでも良いお話だと思えたのは洗練されたテキストの力も大きいかと思います。
画面がレトロゲームばりのドット画で情報量が少ないので、どうしても意識はテキストに集中してしまいます。
テキストの大半はキャラクターたちの台詞ですが、想いをストレートに伝える表現が多くてシンプルに綺麗なので割と印象に残った言い回しも多かったです(人によっては薄いって思うかもしれません。)



何より「彼女は最後にそう言った」というタイトルの回収のしかた。
彼女は何を言ったのか?
ネタバレかもですが実は2つあります。
この2つの言葉の違いに素直に感動したのですが、違う思いだけどそれは視点の違いで言いたいことは同じにも捉えられるところが上手いなと。
まさかタイトルにそういう風にもっていくとは思っていなかったので完全に不意打ちくらいました。
だからこその終わったあとのスッキリ感です。
