スマホゲーム『ミソハギ踏切で待ってる』のレビューです。
ジャンルはほぼノベルゲーなアドベンチャー、ということはストーリーが大事になります。
簡単には、主人公が田舎へ帰省した7日間の中で起こる不思議体験を描いた、ミステリー要素の強い物語です(微ホラー表現あり。)
しかし、私が一番強く感じたのは・・・
「田舎に生きる人々の人間模様が感じとれる温かみのあるお話」
なので
- ・子供のころ田舎で育った人は色々と共感しそう
- ・逆に今、人間関係に飢えている人は羨ましくなるかも・・・
もろに私の所感がそうで、、
なんか読んでて羨ましくなったし「子供のころはよく親戚が集まって大人同士がくだらないこと話していたよな・・・」とか懐かしくもなりました。
ゲーム性については、このゲームはストーリーの進行の中で適宜、アドベンチャーパートとエスケープ(脱出)モードと呼ばれるゲーム的な要素がさし込まれます。
それが多くの人の感想として「盛りだくさんだった」と感じた要因かなと。
それでもクリアまでは7~8時間で終わります。短すぎず長すぎない、ほどよく満足感が得られるボリュームです。
この記事では、ストーリーのあらすじから、どんなゲームなのか、物語の見どころについて、更にみんなの反応を良いところ悪いところとまとめています。
ゲームの基本情報
- 題名:ミソハギ踏切で待ってる
- 種類:アドベンチャー / 脱出ゲーム / ミステリー / 微ホラー
- 記録:手動 / 一定間隔にてオート
- 画面:横向き固定
- 料金:アプリ内課金あり(120円×9個)
不思議体験までのストーリーあらすじ
物語は主人公の赤崎 蛍(あかさき ほたる)が田舎に帰省するところから始まる。
8月9日からの7日間を描く。


空港の出迎えは従兄弟の赤崎 信哉(あかさき しんや)

父親の生家に辿り着くと、玄関では伯父と伯母が出迎えてくれた。


リビングでは祖母、そして従姉妹の香里(かおり)と祈里(いのり)

いつの間にかボクっ娘になっていた香里

蛍への好意があからさまに態度に出ている祈里、家族にもバレバレでことあるごとにからかわれていた。

こんな感じに親戚一同と7年ぶりの再会をする。
香里と祈里は昔と変わらず、何かある度にケンカするほどに仲が良い姉妹。


懐かしむように生まれ育った町を散策していると、気づけば視線の先に踏切があり、列車が通り過ぎていった。
その踏切の近くにはマゼンタピンクの花が。
その花の名前はミソハギと呼びその踏切を『ミソハギ踏切』と呼ぶことを、なぜか忘れていたがなぜか瞬時に思い出せた。
それは初恋だったかもしれない同い年の女の子から教えてもらったという記憶。その女の子の特徴は思い出したが名前は思い出せない。


ふと今はどうしているのだろうか?と思いを巡らせ、足が動く先はその女の子の家へと。

女の子はいた。すると蛍の口から自然と小夜(さよ)という名前が言葉に出てくる。

小夜の姉の瑞穂(みずほ)とも再会する。瑞穂は、年齢にあわないほど子供のような様子を見せる小夜の話から、蛍になぜか「もうここには来ない方がいい」と告げる。

「住む世界が違う」程度に捉えた蛍は、しばらく瑞穂と世間話をしたのち、遅くなるまえに家へと帰ることに。
小夜からは引きとめられたがまた来ることを約束し、帰宅。すでに宴会が始まっていた。
近隣の人たち含めざっと20人、すでに出来上がっている模様。宴会では信哉の同級生の勇気(ゆうき)など、更に懐かしい面々と再会する。

蛍は伯父から娘とのイトコ婚の申し出に困らされていたが、そんな時に東京から数年前に戻ってきたという中村(なかむら)が登場する。

自分とは異質な雰囲気を漂わせる中村に対して直観的に苦手意識を持ってしまう蛍。話を打ち切るために席を外すと、トイレの前で信哉と出くわす。
何気なく今日、小夜の家に行ったことを話すと、なぜか信哉は固まってしまう。そして・・・蛍は信哉から信じられない話を聞かされる。
3年前の夏に、小夜も瑞穂もそのご両親も、みんな死んでしまっている・・・と。


という流れが初日の出来事です。
最初は香里と祈里、そして小夜の登場に「これはいわゆるハーレム展開かな?」と思っていましたが、物語は怒涛のミステリーへと展開していきます。
2日目は確かめるかごとくまた小夜の家に行きますが、蛍はそこでちょっとしたホラーに巻き込まれてしまいます。
※ホラー表現ですが「ちょっとでも怖いのは苦手だ!」という人でなければ大丈夫なレベルです。脱出ゲームのところで少し、死に関する表現がありますが、絵的には雰囲気を感じるレベルに抑えられてあります。

いきなり黒い物体に襲われ、小夜の家に閉じ込められてしまう蛍。なんとか脱出するも・・・。

物語の謎の焦点として、この黒い物体に「なぜ襲われるのか? そしてその黒幕はだれなのか?(瑞穂なのか?はたまた??)」というのがあります。
私の感想としては、結末の印象は少し弱かったです。
それは一見、綺麗にまとまっているものの意外性がなかったからかなというのが一つ。
むしろ、結末にいたるまでの展開が良すぎたため、最後の印象が弱かったのかもしれません。
あと少しわかりにくいというのもあるかもです。私はついもう一度ラストを読み返してしまったので・・・。
ちなみにこの一度読んだ部分については、好きなパートの物語から読み返せる機能は便利です。

どこがアドベンチャーパートで、どこが脱出パートかというのもわかりやすく表示されています。
ゲーム性が強い、実績集めと脱出モードについて
ストーリーパートでできることはテキストを読むだけで選択肢は出てきません(ボイスもなしです。)
ではどこでゲームをするのかというと、アドベンチャーパートとエスケープモード。この2つはストーリーを進めていく中で何度も挿し込まれます。
隅々まで探索して実績を集める
アドベンチャーパートになると専用のマップ画面に切り替わり、赤崎家と横溝の町(ゲームの舞台)を好きに移動することができるようになります。

アドベンチャーパートですべきことは『実績を集める』こと。
ミッションをクリアしてしまうとアドベンチャーパートが終わってしまうので、その前に隅々と探索することで色んなイベントが発生し、イベントによっては実績が得られます。
基本的にはアドベンチャーパート内で進行がある度に、一度行った場所でも「もう一度!」と全ての場所に移動すれば、一週目で全実績はコンプリートできます。
なのでゲームとして難しくはないです。
注意としては一度行った場所に再訪問することで発生する実績が結構あるので「忘れないこと」くらいですね。
実績を集めることの醍醐味はそれだけ色んなキャラとの会話が発生するということなので、よりキャラクターが理解できて楽しいです。
例えば香里の部屋に勝手に入ることで↓こんなリアクションとともに香里の秘密(趣味)を知ることができたり。

そのお陰で香里からは恐ろしい台詞を聞くことになりますが・・・。

また横溝町には色んな虫やネコ、そして七不思議のようなものがあったりするみたいで、それらを集める楽しみもあります。


さらに全実績をコンプリートするとおまけの話が見れたりすると、、まあそうでなくとも自然と集めたくなるのはキャラクターが生きているからかなあと思います。
脱出ゲームはほど良い難易度
ミソハギ踏切で待ってるにおける脱出ゲームとは小夜の家からの脱出です。
ストーリー中に突然、黒い物体におそわれてしまうと、小夜の家は不思議空間に変貌します。
脱出するためには、必要なアイテムを入手して謎解きを行わなければいけません。そのために、とにかく色んなところを画面タップしまくります。

ストーリーの中で脱出ゲームをしないといけない、というのがこのゲームの特徴的な部分ですね。
やり方などは他の脱出ゲームと基本的には同じ、ですので言い換えるなら「脱出ゲームのストーリーがもの凄い長い版」とも言えるかもです。
問題は全部で大きく6問(1問の中で細かく4~5個は謎を解く必要が)あるので、これだけでもそこそこボリュームあります。
問題の難易度は、やさしめですが少しは考えないと解けない謎が多く、頭の体操に丁度良いレベルかなと。
例えば最初の1問目の1つの謎解きについて。
カレンダーが目についたのでタップしてみると・・・

いかにもヒントになりそうな印がついています。

そしてタンスの引き出しを見てみると、0~9までの数字を設定できるのが4つ。その上にある色つきの●から、多分さっきのカレンダーだなと・・・

見事に引き出しを開けることができたら、中から更なるアイテムが手に入りました。

という雰囲気でして、まあこれは1問目なのでかなりやさしい問題です。
問題によっては3~4分は悩んだことがあったので、ほんと適度な難易度なんですよね。
それにどうしてもわからない人のためにヒントが見れるのと、それでもわからなければもう答えまで見ることができちゃいます。
見るのに広告動画とかもなくて、こんな親切設計なのは珍しいですね。やはりストーリーがメインなので、というところだと思います。

物語の見どころは田舎の人間模様にあり
物語の軸はやはり不思議体験があっての、一体どういうことなのか?という謎を解いていく、ミステリーの部分です。
しかし個人的にはそれ以上に、お話の世界観というか、雰囲気に惹かれた点が多かったです。
田舎という、箱庭的な文化における「におい」というか・・・
それは田園風景の描写だったり、地元の夏祭りの描写だったり、夜には親戚どころか近隣の人たちが集まって宴会をする風景だったり、そういう点から空気感がひしひしと伝わってきたからかなあって。
そもそも登場人物が多いのも、人間模様が中心であることを物語っていますね。
7~8時間のボリュームの中で20人も。子供からご年配まで、老若男女さまざまです。

こういう景色に懐かしさを覚える人には、このゲームの人間模様はわりとささるのではないかと。

地元の夏祭りの思い出って、印象強く残ってたりしますよね。

あと酔っぱらったおっちゃん達の気さくな感じとか。


ゲームクリア後に見れる『あとがき』にて、作者はこう言っています。
最大の目標は、横溝町という町とそこに生きる人々を、皆さんの心の中に再現することでした。
ストアとTwitterより良いところ、悪いところまとめ
最後にみんなはこのゲームをプレイしてどう感じたのか?
主にストアのレビューコメントと、Twitterで検索して出てきた意見の中で、複数人からあがっていたものをまとめました。
まずは良いところについて。
・無広告で無料でこのクオリティは凄い
・中盤以降は目を離さない展開で良かった
・脱出ゲームの難易度が丁度よかった
・脱出や実績集めなど、内容が多くて良かった
・会話の多さなど、1人1人のキャラが丁寧に描かれている
・プレイしていると自分の田舎のころの情景がよみがえる
次に悪いところについて。
・ご都合主義でありがちなストーリー
・ホラー要素を楽しみにしていたので拍子抜け
・キャラが(このゲームを製作したチームの)過去作と被っている
・キャラとの無駄な会話が多く、ストーリーが薄く感じる
・ヒロインがいかにもラノベな感じで受け付けない
正直、短文のユーザーレビューやTwitterコメって「なぜそう思ったか?」理由の部分が書かれてないことが多いので、意外とまとめるのが難しかったりします。
多少ですが、「多分、こういうことを言いたいのであろう」まとめ方になっている点はご留意ください。
全体的には「面白かった!」という声が多数。
意見が分かれたところの中で目についたのが・・・ストーリーに無駄が多いと感じた人と、逆にそれによりキャラクターに感情移入できたという人。
そこから言えるのは、ストーリーの軸だけさくっと楽しみたい人にとっては冗長なのかもです。私はそう感じなかったのですが、それは人間模様を楽しんでいたからなのかなと思います。
以上です!
田舎を題材にした物語ってどうしてもちょっぴり切ない感じがしますけども、、
この物語においてはなんとも、上手く歯車がかみ合わなかったがために起こってしまった事件、という感じが切なかったです。
あとクリアまで全て無料でプレイできるゲームですが、もっとキャラクターや背景を理解したい人のために、課金で見れる特別ストーリーが多く用意されています。
1つ30分ちょっとのボリュームに対して120円と安めなので、ゲームが気に入った人は購入して損はない内容で面白かったです。
(特別ストーリーについては別記事でまとめています。)