元々は韓国で生まれたビジュアルノベルゲーム。
感動ストーリーということで韓国では高く評価されたそうですが、日本ではマイナーに思います。
しかしプレイされた方の評価はこぞって高いです。「なぜもっと人気がでないんだ」という声もあります。
いざプレイしてみると感動・・・以上に哲学を感じました。というか、かなり考えさせられた感じです。
(これが難しい問いで、結局、悩んでも自分なりの答えは見出せませんでした。)
これから先もっとテクノロジーが発達して、高度なAIをもったロボットが当たり前のように存在する世の中はきっと便利で幸せであろう・・・。
そんな未来を夢見るあなたにはこのゲームは少し酷かもしれないです。
なんて大袈裟ですが先にちょっと注意喚起をしつつも、どんなメッセージが込められたゲームなのか、自分なりに感じた点をまとめてみます。
ゲームの基本情報
- 題名:ルーシィ ~彼女が望んでいたもの~
- 種類:ビジュアルノベル
- 記録:手動(実績等は自動)
- 画面:横向き
- 料金:税込490円(iOS)480円(Android)
どんなゲームか紹介
最初にざっとどんなゲームなのか、ビジュアルノベルですのでストーリー部分を中心に書きます。
物語の世界観
ロボットというと舞台はかなり進化した未来なのか、と思いきや2050年とわりと近未来です。
とはいえ30年後と考えると結構進化してても良さそうな気がしますが、ゲーム内で描かれる風景はなんら今と変わりありません。
大きな違いは一つだけ。
アンドロイド(ロボット)が当たり前に存在し、暮らしをサポートしてくれてます。


物語の概要
学校帰りに近道のため廃棄場を通り抜けようとした主人公は、そこに捨てられていたアンドロイド『ルーシィ・バレンタイン』を見つける

主人公はロボット嫌いであったものの「ちょっと可哀想かな」と思わず同情してしまい、ルーシィを持ちかえってしまう
なんとか起動したルーシィだったが、脚が可動しないため修理店で見てもらうことに


翌日、学校帰りに修理店に行ってみると、昨日の機械音とは打って変わり、人間と何ら変わらない感情豊かに振る舞うルーシィの姿があった

ロボット嫌いであったはずの主人公は次第にルーシィに惹かれてゆくことになる
そして物語は時折、主人公パートとは別に博士(ルーシィを作り上げた人)パートが挿し込まれ、そこではルーシィが廃棄されるまでの様子が描かれる

そんな物語がどこに着地することとなるのか・・・?
キーとなるのは主人公の父親の存在です
とにかく仕事を生きがいとするしか生きる術を知らない、絵に描いたようなエリート志向
ルーシィを模造品と吐き捨てる彼はロボットが大嫌いで、ロボットにハマる人の人格すら否定する
仕事 >>>>>>>> 家族
そんな父親なので主人公とは度々反発する仲の悪さだったが、ルーシィが住むようになってからよりヒートアップしていく、、
そして衝撃のラストへと展開していくことに・・・
物語のボリュームは5~6時間程度
有料ゲームにしてはわりとあっさり終わった感がありました。
それでもストーリーがよくできているので不満はないですし、同様に買って後悔はないという感想をいくつか見ています。
ただこれは賛否両論あるかもですけど、ボリュームが多くないこともあってか登場人物が少ないです。
目立ったキャラクターは父親を除いては、修理店の店長と主人公のクラスメートである機械博士(通称)しか出てきません。


少ないことでストーリー上に違和感を感じたわけではないですが、少しさびしい感じはしました。
もう1人くらい主要キャラがいても良さげです。
しかしながらこのゲームは終始、主人公とルーシィ2人の物語なので、そこに焦点を絞ったという意味では有りなのかもしれないです。
父親が終始ムナクソである
物語の概要のところで父親がキーだと書きましたが、プレイしたら多分、8割方の人が父親に対してイライラすると思います(笑)
なんせルーシィに対して

こんなんとか

こんな態度を取りますからね・・・。
どうにかして最後はスカッとしてほしかったところですが、そういう終わり方か~と・・・
父親に関しては最後までもやっとしました。
ただ、このゲームはクリア後にアフターストーリーが段階的に解禁される仕組みでして、その中には父親のエピソードがあります。
そこで一応は父親への理解が得られる内容になっています。
ゲーム性は弱い
ビジュアルノベルなので基本的には読み物です。
一応、何度か選択肢は登場し、選択次第でノーマルエンドかトゥルーエンドかに分岐はします。
この選択肢についてはさほど難しいものでもないので、わりとすんなり2つのエンディングは見られると思います。
あとは選択肢によって実績が得られるくらいですのでゲーム性はないに等しいのですが、2つのエンディング、特にトゥルーエンド(真のエンディング)は必見です。
真のエンディングについて
ネタバレになるので内容は触れませんが、真のエンディングは必見です(2回目。)
文字通り、真実がわかります。
そして物語の中に大きく仕掛けられたギミックの存在に驚きます(私だけかも。)
ここは見事に感じた点で、私はまんまと騙されました(もちろん良い意味で。)そのため、感動よりも先に「えっ、つじつま合うの?」という疑問がわいてしまい・・・、、
思わずもう1週プレイしたんですけど、伏線についてはおかしな点はなかったです。
むしろ真実を知った上で2周目をプレイすると「この一文にも実は伏線が込められていたのか!?」とまた違った楽しみ方ができます。
思わず考えさせられる哲学的な問いとは?
※ここより以降は多少のネタバレが含まれている可能性がありますので、完全なネタバレなしにゲームをプレイしたい方は見ない方が良いかもです
冒頭でこのゲームは考えさせられる部分が多かったと書きました。
それはゲームの中でいくつか問いかけがあるのですが、実に哲学的というか深かったからです。
物語の舞台は2050年と近未来ですが、もしかしたら本当に2050年くらいになったらこのゲームのような未来が訪れるかもしれないなと。
そうなった場合にきっとこういう問題が起こるであろうと、その予測を描いているのかもしれない。そんな気がしてならないです。

1つ、大きなテーマとも言えるのが「ロボットのアルゴリズムが万が一、人間と同等なくらい精巧なものだったら、それは偽物といえるのか?」という問い。



論理的にはイコールとしても良いのかなとも思えてきます。
しかしやはり根本的にはどうあがいたところで、人間とアンドロイドは違いますよね。
そして一番考えさせられたのがルーシィからの問いで「マスターが一緒にいたいというルーシィは誰ですか?」です。

この聞き方だけでも哲学的ですよね。さらに会話が続く中で「ルーシィを成す構成パーツの中に、唯一無二のものはひとつも存在しません」これにはハッとさせられました。

仮に人間と同レベルのアンドロイドに感情移入してしまい、個として認知した場合、何をもって個性を見出すのか? そもそもやはりロボットに個性(というか心?)はあり得ないのか?
極めつけはこの問いです。
「ロボットは世の中に何を残すのでしょうか?」

↑の後に語るルーシィが残したいものについてはぜひゲームで確かめてほしいです。とてもロボットとは思えない綺麗な答えに感動できます。
まとめ:安易に恋愛を描いたようなベタな物語ではない
最後にまとめとして、ルーシィをプレイして感じた点から、ゲームのポイントを3つ箇条書きであげてみます。
・見事に騙される物語の構成の巧みさ。真のラストまで見ると綺麗に締まるし、余韻に浸れる
・もし、人間に限りなく近いロボットがいる世界、そんな未来が訪れたらどうなってしまうのか?を考えさせられる
・ルーシィの日本語ボイスがあっているし可愛い
3番目は大事ですね。笑

真面目には1番目とか、5~6時間という長さに上手くまとまった物語に思います。
多少、表記崩れとかログ表示が上手くされなかったりとかはあったのですが、わりと些細なことに思えました。
普通なら有料ゲームでバグは勘弁なところですが、ストーリーの良さでカバーできているのではないかなと。
評価が高いのもうなづける良ゲームでした。
