シャングリラ・ワールドのジャンルはチャットタイプのノベルゲームです。
ですが、おすすめするのはRPG好きな人になります。
RPGが好きであれば共感せずにはいられないテーマがお話の中に盛りだくさんなんです。
例えば…
- ・レベル上げって本当に必要?
- ・おつかいなクエストなんて時間の無駄じゃないですか?
RPG好きならあるあるなネタに対してお話の中で議論が交わされる。思わずよくわかってる!その通りだ!と唸らずにはいられません。
制作者サイドのゲームにかける熱量がよく伝わってきます。
それは物語においてもで。コミカルベースに最後はシリアスな展開で感動のある良いお話でした。
ゲームの基本情報
- 題名:シャングリラ・ワールド
- 種類:アドベンチャー / チャットノベル
- 記録:オート
- 画面:縦向き固定
- 料金:クリア後の番外編のみ有料360円
物語の概要と構成
シャングリラ・ワールドというのはゲーム中に出てくる(というかメインの)MMORPGの名前で、ゲームはチャット形式にてキャラ同士の会話を読んでいくスタイルです。
クソゲーを改善していく物語のあらすじ
最初にシャングリラ・ワールドがどんな物語なのか?というところで、冒頭のあらすじです。


いきなり「こんなクソゲーのヒロインなんて嫌だ!」とある女性がブチギレるところから物語は始まる

その女性はフィオナという名で、ゲームマスターのタクによって作られたMMORPG「シャングリラ・ワールド」のヒロインを務めるAIである
あまりに高性能すぎてタクからゲームマスターの権限を奪ってしまうフィオナ(ついでにタクのレベルは1へ)


そんな折、アルバイトを探していた高校生のみさきのもとにゲームのテスター募集のメールが届く

テスターとしてシャングリラ・ワールドの世界へ参加することとなったみさきはタクと共に、クソゲー改善のためフィオナとディスカッションすることに

元々ある出来事によりRPGが好きだったみさきは素直な想いをぶつけることで、段々とシャングリラ・ワールドは改善されていくが、、実はこのゲームには秘密があり、もしゲームが完成されてしまうと・・・

といった流れです。
コミカル→シリアスな構成(全7章)
物語は章立てで全部で7つの章があります。
基本的にはコミカルにテンポよく会話が進んでいくので、自分としては「にやにや」が多かったですが・・・というのが5章まで。
一転して物語の核心に迫る6章、そして最終章は一気にシリアスな展開になります。突き抜ける感じ。
ただまあ、ラストの展開はうすうす感づいていたところがあったので「あーやっぱりそういうお話かあ・・・」な感じにはなるかもです。
とはいえ終盤のみさきやフィオナが想いをぶつけていくシーンは目を見張るものがありますし、選択肢の出し方が上手いので思わず物語に惹き込まれます。
中でもこの演出。

詳細はネタバレになるので言えないですが、多分「えっ・・・????」って不意打ちくらうと思います。
この演出は脱帽でした。
クリアまでの所要時間について
アプリの説明で「クリア所要時間:2時間」と書いてあったのですが、私の場合は2時間30分くらいかかりました。
無料でプレイできるアプリとしては、さくっとクリアできる、ほど良い長さに思います。
画面も縦向き固定なので、移動中とかにプレイするのにも丁度良いです。
ちなみにクリア後の要素含めて全部のエンディングを制覇(完全クリア)した場合は、3時間30分といったボリュームです。
ゲームシステムについて
ノベルゲームにしては非常にシンプルな設計でして、ちょっと読み返したい場合とかには不便さを感じます。
が、まあボリュームが長くないゲームですので、そんなに気にはなりません。
選択肢を間違えるとゲームオーバー
基本はこれだけです。
選択肢を間違えるとすぐにBAD ENDかANOTHER ENDになります。


動画広告を見ることで直前からやり直せますが、章の中に(オートセーブの)区切り(チャプター)が細かく設定されているので、タイトルに戻ってからやり直してもさほど時間はかかりません。

無料のビジュアルノベルにありがちなスタミナ制度とか一切ないので、気軽にプレイできるのは大きい。
一応、強制的な動画広告は章の間と章の中に1回ずつは入ります。

唯一の難点はログが見返しづらいこと
ログが見づらいのはどうにかならなかったのか?と、ここだけ不満点です。
というのも、↓の画像の赤枠の範囲でしかテキストがスクロールされません。

最初、スクロールできることに気づかなかったほどです。
RPG好きはこの物語の何に共感するのか?
ようやっと本題です。
シャングリラ・ワールドは舞台がMMORPGなので、クソゲー改善のお題はRPGのあるあるになります。
私はかなりのRPG大好き人間なのですが、普段から心の奥底に思っていたことを見事に代弁してくれた感じがしました。
特に1章と2章のお題には共感しかなかったです。
RPGにおけるレベル上げとは?
フィオナからの最初のお題が「あなたにとってレベル上げとはどんな行為か?」

そして「レベル上げに時間を割くよりその分イベントを増やした方が良くないか?」です。

それに対するみさきの考えがこちら

私自身もみさきと同意見でして、RPGにおいてレベル上げは必要だと思っています。
むしろ「そんなのいるに決まってるわ!」くらいの勢いです。笑
というのもレベルって非常にわかりやすい成長のバロメータなんですよ。
勝てなかった敵がこつこつレベルを積み上げることで勝てるようになった時、プレイヤーは成長を感じると同時に達成感を得られます。
そのプロセスをなくしてしまうと実に味気ないものになってしまう気がしてなりません。
そういうの、ストーリーと絡めて上手く構成した作品もありますよね。例えば、ドラクエ5のゲマ。
幼少期に全く歯が立たなかったゲマを大人になってからのストーリー終盤にてようやっと倒した時。ただただ、感無量でした。
思えばドラクエはレベルアップ時にジングルが鳴るのも喜びに一役買っていると思います。あれが鳴ると「おっ」てなりますから。
おつかいなクエストは不要?
簡単にもう一例だけ。
2章のお題では「ただのおつかい的なクエストとかいらなくない?」って感じなのですが、ここは少し悩ましいところですね。
確かにクエストの悪い面であるおつかいゲーなのはどうにかしてほしいところではあります。ゲーム性としてはおもしろくないですので。
ただ思うにクエストの良し悪しはお話の部分が大きいのではないかなと。
クエストの物語がおもしろければ、おつかい部分はさほど苦にはなっていなかったりします。
自分としてはアナザーエデンとかまさにそんな感じですね。
1人1人のキャラクターが魅力的に立っていれば、キャラクターを深く知れるクエストはむしろもっと欲しい!ってなります。

クリア後のおまけ要素、課金コンテンツについて
シャングリラ・ワールドはおまけ要素が主に2つあります。
1つは全章の達成率100%によるコンプリート特典。
もう1つは360円と有料ですが、クリア後に解放される番外編です。
この2つを見た後の感想としては、改めてこのゲームを作った人たちのゲームに対する造けいと想いの深さを感じました。
プレイヤーがゲームに何を求めているのか?というのを凄くよく考えられている、、だからこのテーマの物語を作られたのだとは思いますが。

課金コンテンツも360円の有料と書きましたが、実は無料でも解放することができます。

動画広告を30回見る、と少し大変ですが、とはいえ(30秒×30回=)15分程度の時間を割くだけで360円がタダになります。
凄く良心的ですよね。
ちなみに動画広告を30回もとなると通信量が気になるかもしれませんが、以前に当ブログではマンガアプリで測定してみたところ、そんなに気にしなくても良いという結果になりました(参考までに。)
1つ間違ってはいけないのが、この課金コンテンツの価値が360円というわけでは決してないことです。
#15分 = 360円 ではない
「このゲームをプレイして、もし、おもしろいと感じてくれたならば、お金を払っても良いと感じてくれたならば」という制作サイドの想いが非常に伝わってきます。
動画広告を30回見ることで課金コンテンツを解放してくれるところが、またより表れています。

まとめ:自分自身がゲームに何を求めているのか?今一度考えさせられた
最後にまとめですが、シャングリラ・ワールドは物語のテーマ性が非常に良かったです。RPG好きな自分としては色々と考えさせられました。
例として1章と2章をあげましたが、物語のメインとなるクソゲーを改善するためのディスカッション。
実はこれ、フィオナとタクとみさきの3人だけではなくて、多分プレイヤーにも投げかけられているのだと思います。
つまりはメッセージ性の強い作品です。

メッセージ性が強いゲームは自然と考えさせられて学びがあるのが良いです。
さらにゲームは映画とかと違って双方向のメディアであるという点。
ゲームの世界にプレイヤーとして介入する、その『体感』が加わることで没入感が増して。そうなるとより感動できるし記憶(思い出)としても深く残る、というのが最大のメリットに思います。
そんなことを夜な夜な考えさせられる(笑)シャングリラ・ワールドは良作です。