comicoで連載中の漫画「パステル家族」はジャンルでいうと日常系コメディ漫画です。

絵柄の印象の通りに、基本は5人家族の明河原家を中心とした緩やかな日常のお話が続きますが、それだけだと子供向け漫画になってしまいます。
パステル家族はコミックスが累計20万部は突破し着々ながらも人気が上がっている、コアなファンも多い漫画です。
やっぱり人気となるには理由があります。大人が読んで感動できるのは多分、大人になって忘れかけていたかもしれない童心(純粋)の部分じゃないかなと思います。
- 泣いたと思ったら次の瞬間笑ってるような漫画が読みたい
- 理想の家族ってこういうのだろうなって感覚を味わいたい
- 悪い人のいない真に平和な日常にほんわかほっこりしたい
- 思わず読み返したくなるほど伏線回収の巧みな話が好きだ
私が思うパステル家族の特徴です。この4つのどれかでも当てはまる人にはおすすめします。
長編話は感動するギャップ
comico連載当初に何となく読んだパステル家族、実は最初は全くハマらなかったです。淡々と日常の話が描かれていてオチが強いわけでもなく、あと好きな絵柄でも無かったですし。
ただ他の人のコメントで「まだ判断せずに騙されたと思って○話まで読み続けてほしい」的な事が書かれてありました。
何となく読み続けて”福引きの回”ってとこまで読んだ時、このマンガの見かたが180度変わりました。
因みに福引きの回はファンからは神回と呼ばれていて、コミックス1巻に載っています。
パステル家族は基本は1話~数話程度の短いお話で構成されていますが、たまに長編のお話が出てきます。
タイトルだけ見ても知らない人には訳分からんと思いますが、コミックス9巻までの長編話を列挙しますと
- 福引の回(1巻)
- 遊園地の回(2巻)
- 神社の回(3巻描き下ろし)
- 夏の思い出の回(4巻全部)
- タクオの家庭教師の回(6、7巻)
- マヨの両親の出会いの回(8巻ほとんど)
- ラーメン屋の回(9巻)
という風に、大体の巻には目玉となる話が組み込まれています。
例えるなら名作アニメの映画版
パステル家族では長編の話が普段の何気ない日常話とは打って変わって妙に感動します。作者の構成力の素晴らしさで見る見る世界観に引き込まれて気づけば涙が出ていたり。
例えるならばクレヨンしんちゃん。
子供向けマンガですけど一方で下品な表現の部分で子供に見せたくないマンガとして批判されたりする事もあります。
でも映画版は大人が見ても泣ける、感動するって事で凄い人気だったりしますよね。それは大人がドキッとするような話のネタと、でもいつものギャグが挟み込まれる事で泣けるわ笑えるわで感情が揺さぶられる。
だからクレヨンしんちゃんの映画版が好きな人はきっとパステル家族もハマるはずです。
あとは、ドラえもんの映画版では妙にジャイアンが格好良かったり、みたいなのも近しい要素があるかなと。
そして長編で感動してしまうと普段の”どこにでもある何気ない日常”だった話の見方もいつのまにか変化している事に気づきます。
これもギャップかと思いますが、「あーいつものパステルだ」という安心感みたいな・・? こうやってパステルの世界観にじわじわと惹き込まれてしまうわけですが。
一言でいうと、”癒し”ですね。
そういえばコミックスの裏表紙にキャッチコピーとして
- 1度読んだら”絶対に”大好きになります。(1巻)
- 2度読んだらもっと大好きになります。(2巻)
- 3度読んだら楽しい嬉しい発見があるのです。(3巻)
とあるのですが強ち間違いではない、上手い事言うなと思いました。

具体例として里帰りのエピソード
何だか抽象的な話ばかりになってきたので一つ具体的に好きな話を紹介すると、コミックス4巻の「夏の思い出の回」
夏休みの間に主人公の女子高生であるマヨがお母さんの実家に里帰りをして、ひいおじいちゃんやハトコたちと会うお話です。
第4巻をまるまる使っているパステル家族では最長編の物語です(これもファンの間ではめっちゃ人気の回。)
細かなエピソードがいくつかある中で個人的に一番印象強かったのは”ひいおじいちゃん”の物語。
亡くなったひいおばあちゃんへ”ある想い”を伝えるために頑張るのですが、
「90歳が成長しようとして何が悪い」「枯れ果てたジジイが成長を望んで何が悪い」
凄く心に刺さった好きな台詞です。
というかこれほどまでにひいおじいちゃんに焦点を当てて話を描いたマンガがあるだろうか、いやない(思わず反語。)
その後にひいおばあちゃんにどんな想いを伝えたのかはぜひ読んでみてほしいです。意外なピュアな想いから、良いエンディングへと締めてくれます。
羨ましいほどに溢れる家族愛
パステル家族の特徴で一つ外せないのが、5人家族の明河原家がほんと仲良し家族であるところです。
長男のタクオと長女のマヨ、そして次男のほのめ。3人ともあり得んほどに両親の愛情を受けて真っ直ぐに育っています。
そもそも作品のタイトルが「パステル家族」というくらいなので家族愛をテーマとしているのかなというのは想像つくと思います。
実際パステルにどんな想いが込められているのかは8巻の「マヨの両親の出会いの回」で描かれています(これがまた泣ける・・。)
まあ明河原家ほど”できた家族”は現実には中々いないと思います。だから理想なんですよね。
何がってのをまた一つだけ紹介すると、恋人ができた事を両親にわざわざ(しかも改まって)報告するんですよ。
今時そんな人は滅多にいないと思います、少なからず自分の周りではいないし、聞いたことがないです。
なんと羨ましい家族であろうか!
コミックス1巻の福引きの回では家族一丸となってアクションゲームをプレイするシーンとかほんと羨ましいです。
勢いに任せてもう一つ書くとお父さんのさり気ない活躍がまた素晴らしいのです。
普段から子供をしっかりと見ているからこそ息子のちょっとした異変にも気づき、息子の悩みごとをしっかりと聞いて背中を押してあげる。中々できる事ではない理想の父親像だと思います。
悪人のいない平和な世界観
パステル家族では明河原家以外にも個性豊かなキャラクターが沢山登場しますが、共通して言えるのが”悪い人が一人もいない”という事です。
本当に一人も。それなのに色んな話が描ける作者には脱帽です。
普通は読者の感情の振れ幅が大きいほど良いとするならば悪い人の登場って常套手段になってくるのですが
あえて悲劇を描いてそれを解決することで心をスッキリとさせる、カタルシスなんて言葉がありますがパステル家族には一切該当しないです。
稀にちょっと悪っぽい人が出てくることはありますが、その際に作者コメであるのが「パステル基準で悪い人が出ます」という表現。
結局は全然悪い人ではなかったりします。
だからこそ安心して読むことができる平和な世界観がパステル家族の世界です。
何かこう、自分は全くもってできた人間ではないからこそグサグサと刺さりますね、色々と。
マヨの名言で「働いてる人はみんなカッコいいんだよ!」ってのがありますが、そんな発想は自分の中にはなかったので衝撃でした。
パステル家族を読んでると、自分が何とも嫌な大人になったもんだと考えさせられる部分が多々あります。

つい読み返したくなる伏線の数々
comicoではコメント欄を見ていると読み返し組が多いのもパステル家族の特徴。○話を見て読み返しました!ってコメントも目立ちます。
それだけ別の話と繋がる部分が多いってことです。伏線だったり細かな設定だったり。だからどれほどのコアなファンよりも一番作品に対して熱いのは作者だと思います。
何を当たり前の事をと思うかもしれませんが、意外と昔の話を忘れている作者も少なくなかったりしますからね。
パステル家族の作者「セイさん」は結構先の事まで考えているのを作者コメとかで感じ取れるのですが、だからこそ思わぬところに仕込みが入っていたりします。
1巻の123ページにあるほんの一コマが8巻に繋がるだなんて誰が予想できただろうか。
今この記事を書きながらコミックスを読み返していたのですが、7巻の巻末コーナーで読者からの「伏線は最初から考えて配置しているんですか?」の質問に「配置した仕込みが6割で配置して使わないのが3割で後付けが1割」って書いてます。策士ですね。
なので読み返すと新しい発見があって楽しい、ってのがまさに「3度読んだら楽しい嬉しい発見があるのです。(3巻)」ってわけなのです。

作者の熱さというところでもう一つ。
comicoは縦読みマンガなのでコミックスにする際にはコマ割りの再構築が必要になります。それだけでも結構な作業量だと思うのですが、パステル家族は更に加筆とか追加エピソードとかが多くて。
ついついファンは作者の体を心配したりするほどです。
作者の作品への想い込め量が半端ない、マジで。
3巻は単行本オリジナル話が50ページ収録されたり、4巻も大幅リメイク。他にも毎巻、描き下ろしマンガが多く入っています。
comicoでも読めますが、パステル家族についてはコミックスが楽しいです。紙の本なので他の人のコメントでの反応は見れませんけどね。
パステル家族の紹介は以上です。
実は好きなキャラクターについても書いたのは消しました。レビューの域を超えてただの自分語りになっているなと気づいて(いやもう既になっているのですが。汗)
あと本当はもっと早くパステルについての記事を書きたかったのですが、大好きな作品なので下手なことを書きたくなくてズルズルしてました。
最後に、本来は当サイトっておもしろスマホアプリ研究部と言っているくらいなのでcomico(アプリ)を推すのが筋だと思いますが、パステルについてはコミックス推しなので言わば番外編です。
理由は2つあって1つは先に書いた通りコミックスでは色々とバージョンアップされてる点。
もう1つがコミックスが少しでも売れる事によりパステル家族がアニメ化されてほしいからです。国民的アニメに成り得る可能性を秘めてる作品だと思ってるんですけどね。
何かこうまでいうと、というか自分で書いててこの記事ウザいなって思えるのでまさかの最後に(笑)ダメなところを書くと。
ギャグ漫画ほど読んでて爆笑!みたいなのはないです。だからキャラクターや世界観にハマらなければふーんで終わる作品。
(一応、ギャグとコメディの違いについては作者は明確な線引きをしているみたいで。)
逆に世界観にハマっちゃえばコメディ部分がツボにハマります。