縦スクロールで縦に読ませるマンガアプリとしてはパイオニア的存在のcomico。
200以上あるcomicoオリジナルのマンガ作品の中には、縦読みにこだわったマンガも多くあります。
・・・のではないかと思いまして、実際にcomicoのオリジナル漫画を読みまくってみました。
- 縦スクロールならではの読ませ方にはどのような技法があるのか
- 20話までで縦の読ませ方がキラリと光る漫画の紹介
7作品ありますので1つ1つは軽めに、また縦スクロールの技法について個人的見解をまとめてみました。
縦スクロールならではなギミックについて技法を考察
久しぶりにじっくりcomicoのマンガを読んでみたのですが、やっぱり縦読みマンガとしてcomicoはレベルが高く思います。多分、昔以上に今は物凄く(競争率高い?)
コマ割りや構図で魅せるマンガが非常に多くなっている印象です。
ただし、今回は”縦スクロールならでは”というところで見ていきました。
単純にスマホで読みやすくするためコマを縦に並べましたではなくて、縦に仕掛けが感じられるというのがポイントですね。
先にどんな仕掛けがあったかというのを洗い出してみますと。
技法 | 役割、効果 |
---|---|
[A]台詞と絵がセパレート | インパクトのある台詞やシーンで使われる。台詞→状況描写と時間差で描かれる事でそのシーンがより印象に残る |
[B]縦にコマ枠無しで長く描く | 作品の世界観を強烈に印象付ける |
[C]特定のエフェクト(や擬音等)を複数のコマに途切れないように描く | キャラクターの心情や状況の連続性が強調される、より迫力を感じる |
[D]画面を横向きに描く | 横長の絵をあえて横向きに描く、縦→横スクロールへの変化と遊び心のある仕掛けでインパクトと構図のマンネリ化を防ぐ |
[E]目の錯覚現象で効果線に動きが出る | ただただ驚き |
[F]スクロールしないと全体像が見えない事を利用した仕掛け | ただただ驚き |
何かこれ、縦スクロールの技法として体系化できそうではあります。誰か上手い名前を付けてくれないかなとか(他力本願。)
まだまだ深く作品を読みこんでいけば出てくるとは思います。
縦に魅せる7つの漫画を紹介
なるべく話数的には最初の方で縦スクロールの技法が使われている漫画を選んでいます。50話で登場!と言われても辿り着くまでしんどいですし。
あと、併せて書いたあらすじは主に物語の冒頭部分です。なのでネタバレは無いです、多分。笑
選出については主に実際に読んでの主観で選んでいますが、各話のコメントにも注目しています(世論は大事。)
作品1:支配【月曜日】

ジャンル | ホラー、日常、ドラマ |
---|---|
読者 | 男性が少し多い |
家のベランダから誰かが覗いているような感じがする
母親は違和感ない様子のため見間違いかと思ったが、翌日また同じ違和感が訪れる
今度はベランダの様子を写真に撮り母親に見せるが「それがどうしたのよ?」と一蹴される
しかし同時に携帯で送っていた友達からの返信を見た主人公は驚きを隠せない
もう一度、母親に問い詰めると・・・
縦スクロールの性質が意外とホラー漫画と相性が良いなと発見があった作品です。縦スクロール的には他作品とは毛色が大分異なります。
真っ黒な背景とコマの配置の間が絶妙で、至る所で恐怖心が煽られます(絵の独特なグロテスクさも相まって。)
多分、縦スクロールって先が見えないので底知れない感じがホラーと相性が良いのかなと。本は本でページ跨ぎによる仕掛けはできますが、縦スクロールはどこで襲いかかってくるのか分かりません。
支配も不意打ちによる恐怖が半端無いです。夜中に一人では読まない事を推奨します。
作品2:肝潰しの夜【水曜日】

ジャンル | 日常、コメディ、ホラー |
---|---|
読者 | 男性が少し多い |
学校帰りの森の中で主人公の「魂春」が見てしまったのは着物姿の幼い少女の姿であった
追いかけ気がつくと目の前に崖が・・・、背後に立つ少女にロリコン呼ばわりされる魂春(ロリコン)
そして「凪雨」と名乗った少女は人間ではなく”座敷わらし”で、住み着いていた家を退散し行き場に困っていた
ロリコン論で丸めこまれた凪雨は魂春についていく事に
辿り着いた先はいかにも色んな”何か”が出そうなボロアパートの岩朽木荘(いわくつきそう)であった
支配と同じくホラージャンルではありますが、肝潰しの夜はギャグ色が強いので楽しく読めます。
縦スクロールの技法としては1点のみ。[F]の技法が該当します。コメントで1人の方がスクロール詐欺と書いてあったのが非常に印象に残った第2話で使われています。
コメントを見ると多くの方が騙されていました。笑
作者の配慮で表現はかなりオブラートに包んでくれていますが、血が苦手な方は読むのを気を付けた方が良いかもしれません。
作品3:さよなラ終末【水曜日】

ジャンル | ドラマ、アクション、ホラー |
---|---|
読者 | まだ不明 |
「宍戸ルイ」は常にフードを被りクラスの中でも影が薄く、スクールカーストにおいての自分の立ち位置を理解し親にも誰にも反論せずにSNS上で愚痴る
「オレたちは意思もなく流される」「動く屍」「まるでゾンビだ」「この世界は終わってる」
夕食後に横になって携帯をいじる宍戸ルイは体のダルさから熱を測るとまさかの39.2度の高熱が
鏡で自分の顔を見ると眼は真っ赤に充血し、眼や鼻から血が流れ異常な状態の自分に慌てるがそんな時でもSNSに呟いてしまう
「流行りの高熱なう」
するとゾンビガールという名前からリプライが入る
「ゾンビ化おめでとう」「今から行くね~」
なぜかホラーが続いていますが決して意図はしておりません。
技法としては[C]や[D]が使われていますが、とにかく画面の横幅をフルに使ったダイナミックな構図が感動します。
まだ連載開始から余り日が経っていない作品なので、個人的に毎週楽しみに待っている漫画です。
作品4:星のはな【木曜日】

ジャンル | 恋愛、ドラマ、学園 |
---|---|
読者 | 女性が多い |
クラスでいつもうつむいていて誰とも喋らない浮いた存在の「揚蝶」
揚蝶を”バイキン”と揶揄する主人公の「蜂須」は席替えにて揚蝶の隣の席になり益々彼女の存在が癇に障るようになってしまう
ある日、友達との競争に負けた蜂須は罰ゲームとして揚蝶を尾行する事に
帰りの田んぼ道で見た光景は、下を向いたまま泣きながら歌う揚蝶の姿であった
コケそうになる揚蝶を思わず助ける蜂須
嫌いだったはずの揚蝶の口から出た純粋な思いを聞いた蜂須は、心に変化が生まれた
物語として非常にハートフルで心に突き刺さる漫画ではありますが、何より描写の仕方が魅力的で何度も息をのまされました。
特にタイトルロゴまでの導入部分の描写に惹き込まれる事が多く、技法的には[B]が多かったり。でも[A]と[C]も効果的に使われていたりします。
台詞でコマ間を繋いだり、台詞で読ませ絵を挿絵のように使ったりと、縦における間が絶妙なように思いました。
作品5:JADE【土曜日】

ジャンル | アクション、ドラマ、ミステリー |
---|---|
読者 | 女性が多い |
2か月ぶりの休みで喜びに浸り、コンビニ内でルンルン気分の「ソナギ」は刑事である
いつも非番の日に限って事件に巻き込まれるが、今回も・・・
突然、コンビニ強盗に襲われ首元にナイフを突きつけられるがソナギは動じない
昔、事件で受けた怪我の影響から彼女の脳は一切の恐怖を感じられなくなっていた
コンビニ強盗に見事な蹴りをくらわし現行犯逮捕するも、犯人の様子がおかしい
話を聞くと、娘を人質に仕方なしにでっち上げの強盗役をやらされていて、黒幕はコンビニの裏倉庫に隠されたヤクザの金庫を狙う同組のチンピラ達
指定の倉庫にソナギと強盗犯2人で乗り込むが、あと一歩のところでソナギは死の間際まで追い込まれる
もうダメだと思った瞬間、ソナギの背後から”黒い何か”が飛び出す・・・
第1話から縦に魅せてくれます。
長く縦に続くコマの無い描写ですが、夜空→夕焼け→青空への移り変わり(グラデーション)が凄く綺麗だったり。
同じ描写をコピペで描き、コピペをメタ発言する主人公のキャラクター性もインパクトあったりしますが。
何よりは第11話。バトルシーンの構図は一連の動きを横に描いたりと見せ方が素晴らしく迫力満点です。
盛り上がったテンションのまま続く第12話ではなんとBGMが鳴ります。メタル調でよりテンションが上がります♪
作品6:INFINITY【完結】

ジャンル | アクション、ドラマ、SF |
---|---|
読者 | 男性が少し多い |
突然、宇宙から地球へ、巨大な赤い光線が放たれる
赤い光線は地球を覆うようにジクジクと広がっていく・・・
寝坊した主人公は焦りながらも地下鉄のホームで電車を待つ
電車が見えたその時、急に地震が発生、慌てて戻ろうとするがその瞬間に謎の現象が起こってしまう
今まで見えていた地下鉄のホーム、横だった景色が縦に変わってしまった!
ホームにいた人々や電車が落ちていく、電車は行き止まりに追突する大惨事に
何とか無事、非常口の看板めがけて飛び降りられた主人公ではあったが・・・
同時刻、至る所で発生する謎の被害に困惑する人々・・・果たして世界はどうなってしまうのか
こちらも第1話から縦スクロールをフル活用です。
突然横が縦になってしまう世界の落ちていく感じは重力が伝わってきますし。電車は横向きで、でも人は縦に必死に落ちまいと抗う様子の描写は見入ってしまいます。
続いて2話目でも非常口の看板目指して落ちる様子は迫力あり、3話目では渋谷の街が横向きに描かれる描写も実に細かいです。
縦スクロールならではの臨場感と迫力が魅力的な漫画ですね。
作品7:失格人間ハイジ【完結】

ジャンル | ドラマ、恋愛 |
---|---|
読者 | 男女半々 |
小説家の夢をあきらめた主人公の「灰澤修治(ハイジ)」は本屋で契約社員として働く日々をくすぶっていた
ある日、仕事中のハイジに声をかけてきた客の女性「一色」に一目惚れしてしまう
一色は出版社の編集担当とハイジとは同業である事もあり、偶然にも合コンにて再会する
好きな本が同じでその本に救われ夢を追いかけた日々、同じ三十路手前の負け犬状態となっている現状、秘かに一色は同じ境遇のハイジに共感する
しかしハイジは明らかに彼女より収入の低い自分に負い目を感じ、デートにすら誘えないでいた
そんな中で一色はある日、仕事上でのミスから重大なトラブルへと発展してしまう
そして雨の日の中、傘を忘れた彼女の前に偶然現れたのはハイジであった
たまっていた思いから溢れ出た彼女の涙を目の当たりにし、ついにハイジが立った!
縦スクロールならではのギミックといえば、自分の中ではレジェンドな作品です。
でも改めて1話から読み返すと、普段のコマ割りとかはさほど特徴的に描かれているわけでもなかったりします(でも何も無い第1話のコメントに縦スクロールについて感想があるのはさすがというか。)
しかしながら神回と名高い、回想シーンを映写機のフィルムで表現し更に元カノの心情変化を色の変化で表現する第19話は必見です。この19話までは無料で読めます。
他にもいくつかピックアップしようと思ったのですが、最初の方に登場するギミックは19話のだけでした。
オリジナル漫画のレベルが高いcomico
ここからは情報よりも言い訳が多いかもしれません。汗
冒頭で「20話までで~」と書いたりその理由をあたかも読者目線かのように書いてますが、実は余りにcomicoの作品数が多すぎて無理~ってなりました。
最初は全漫画を読破してやるぜ!と意気込んでいたのですが、あれ・・めちゃくちゃ多くない・・・?って。直ぐにオリジナル漫画のみに限定しました。
オリジナル漫画は作品アイコン右下に”オリジナル”と赤字で書かれています。なんと数えたら「215」もありました!
comicoは特定の漫画のみで久しく全体を見ていなかったのですが、想像以上に作品数増えていますね(びっくり。)
さすがに215作品全てを読破する時間は無かったので20話くらいまでは頑張って読む事に。それでも凄い時間がかかりました。まさか正月もずっとcomico漬けとは思いませんでした。笑
時間がかかったのは作品数の多さだけではなくもう一つ、縦スクロール関係なしに面白い漫画が多かったという理由があります。
縦スクロールだけを見るのであればサッと流せば良いのですが、物語の内容が面白くてつい読みこんでしまう漫画が多くありました。
気づけばお気に入りの数が50を超えていました。なので、これは純粋におすすめ漫画として別途記事にまとめたいと思います。
以上です!