※この記事の内容は少しだけネタバレを含みますのでご注意下さい
今回紹介する「7年後で待ってる」は、物語における評価が高い作品なのですが、自分としては非常に難解でした。
いわゆるタイムリープもののお話というか、何度も同じ時を繰り返しながら物語が展開していくので、気を抜くと話がわけわからなくなってきます。
そのため私の場合は感動以上に考え込んでしまう時間が長かったです。
逆にそこが面白い部分となるので、難解な物語の謎や伏線を1つ1つ紐解いていくようなお話が好きな人向けかなと。
あと、見かけ上ゲームアプリっぽく見えるんですけど、実はゲーム要素がないのでただの読み物な感じです。
ほんと見た目はRPGみたいなのでRPGの感覚でやると肩透かしを食らってしまいます。サウンドノベルの感覚でやりましょう。
ゲームの基本情報
- 題名 : 7年後で待ってる
- 種類 : アドベンチャー
- 記録 : セミオート
- 画面 : 横向き固定
- 料金 : アプリ内課金あり
タイムリープを繰り返す物語のあらすじとプレイ時間

序盤部分のあらすじ~主に1回目のタイムリープまで
最初にざっくりとストーリー、特に序盤部分のあらすじです。
主人公のハルトは春休みに7年前まで住んでいた町にやってくる。
ハルトはなぜか7年前より以前の記憶がない。唯一覚えている事は、時々夢の中に出てくる顔も名前も分からない女の子(ヒロイン)
女の子とはある場所で特別な約束を交わしているようだ。女の子は「7年後で待ってる」と話す。
7年前に交わした女の子との約束を確かめられたら、約束の場所に行けば大切なものを思いだせるのではないか。
なくした記憶を探すために、とりあえず近くの病院へ。聞き込みをしていく中でハルトを知る7年前の友人たちと再会する。
そしてハルトはある匂いに反応する。なつかしい香りがする・・・・・・。すると脳裏に甦るなつかしい思い出。

実はハルトの友人たちは病気を患っていた。2つの病気がキーワードとしてあがる。LMDという肺の病気、そして心臓の病気。


ハルトは記憶を徐々に取り戻していく中で病院の企みを知る。お金がらみなのか、それとも別の何か理由があるのか・・・?
ハルトの友人は病院の不正を暴くために1人病院をかぎ回っていた。友人の頼まれでハルトも一緒に探ることに。そこで事件が起こり、ハルトは気づいたらタイムリープしていた。

というのが1回目のタイムリープまでとなります(多少前後してる部分はあります。)
その後もタイムリープの力を借りてハルトは病院や女の子との約束や、段々と真相へと近づいていきます。
主人公の記憶とヒロインとの約束、そして病院側の陰謀とタイムリープ。大きく4つが絡まり合って奥深くも難解なストーリーへと昇華していく。
それが「7年後で待ってる」です。
1日1時間だとかかるプレイ時間は2週間
次にプレイ時間ですが、そこそこなボリュームはあります。
物語はChapterという形で章分けされていて、一つのChapterは短く10分~15分程度で終わります。
ただメインストーリーは全部で40Chapterあるので、ゆっくりやって7~10時間程度。はっきりと計ってはないですが体感的にも10時間近くかかっていたと思います。

さらには、一度エンディングを見てそれで終わり、ではありません。エンディング後に見られるサイドストーリー&エピローグというのがあります。
なんと全部で26話も。ただし無料で見られるのはうち16話。後の10話は課金が必要ですし、16話も30秒前後の広告動画を見る必要があります。

最大のデメリットはゲームではない事
しかしこのアプリ、ジャンルの解釈が非常に難しいです。
パッと見ゲームアプリっぽく見えますが、ただ残念な事にどう解釈してもこのアプリはゲームではありません。
ん、そもそもゲームとは?
思わずゲームの定義について調べちゃいましたが、一般的には何かルールがあって勝敗があるのがゲームだそうで(遊びとは違う。)
例えばRPGなら役割に沿ったルールがあって敵を倒す勝敗がありますし、アドベンチャーゲームも選択肢を選ぶことでグッドエンドかバッドエンドか決まります。
「7年後で待ってる」はプレイヤーが出来ることは移動することだけです。
ストーリーは決まった1本のみ。お話を進めながら目的地までマップ移動することしかできません。選択肢もありませんし、メニュー画面もセーブするか終了するかだけです。
#ちなみに移動方法は2通りあります。移動したい場所をタップするか移動したい方向に長押しするか。個人的にはタップの方がやりやすかったです。
でも操作性は正直うーんって感じで。画面が強制的に横画面になるので片手では操作し辛いです。

移動の中でゲーム性がないのであれば、そもそも移動は無くても良かったのではないか?と個人的には思ってしまいます。移動範囲(マップ数)はほぼ自宅と医院と病院しかないから多くもないですし、であればサウンドノベルのようなテキストベースではダメだったのかなと。
本当に移動しかできないから、その移動が段々と煩わしくなってきます。
次に誰と話せば良いかがビックリマークで示してくれるので全く迷う事がないですが、逆に探す楽しみとかもないですしね。

因みにセーブは手動以外にオートでもしてくれますが、完全なリアルタイムではないので注意が必要です(正確には分からないですが細かいタイミングで記録はされていた模様。)
ミステリーマニアも唸る3つの難関ポイント
ゲームとして考えると首をかしげてしまう7年後で待ってるですが、それでもストーリーは面白かったです。
レビューを見ていると名作と書いている人、ちらほら見受けられました。
特に後半ですね。怒涛のぶっとび展開がありますし。さらにクリア後のエピローグではヒロイン視点のお話が描かれますが、スケールの大きさにびっくりすると思います。マジで理解が追いつきません(汗)
つまりは、誰にでも理解できる分かりやすさではなくその逆。お話は難しいくらいが丁度良い!って人が好むような作品です。
その一例ではありますが、理解をこんがらがせてしまう点を3つあげたいと思います。
ところどころ食い違う主人公の記憶
物語の前半は主人公の会話の歯切れの悪さに違和感を覚えてしまうかもしれません。
というのも主人公は7年前より以前の記憶を失っている点。そして記憶は少しずつ取り戻していくので最初はどうしても歯切れは悪くなります。
物語が進むにつれて主人公は記憶を段々と思いだしてきます。ですが実は記憶と事実が違っていた、とかもしかして違うのかも?って事が特に後半に多くあがってきます。
実は主人公じゃなくてヒロインだった!?とか、「えっ、何言ってるの?そんな事はなかったよ」みたいな驚愕の事実が突然浮上したり。
「あれ、そうなると・・・?」と、こちらの理解も再構築しないといけなくなったりするので、内容を読み解く作業は結構大変です。

流れの中で一つかっこいいのが、主人公は最初歯切れが悪いと言ったのですが、そうなると物語はどうしても周りの人に振り回される形で進行していきます。
しかしながら記憶を取り戻していく中で、段々と主人公は周りに頼るのではなくて自分で考えて行動するようになってくる、そんな主人公の成長物語でもあるんです。
立ちはだかるは病院という巨大組織
病院って命に関わる巨大な組織なので、ある意味権力の象徴的存在でもありますよね。
やはり物語のテーマの中に医療が入ってくるのはミステリーの定番、見事に物語の深さが増す要因になっています。
しかも、LMDという絶対に治らない肺の病気や記憶障害など話的にも重たい。病院側の人間にもそれぞれ強い思いがあります。
1人の人間は過去のある出来事をずっと引きずる形で、間違った方向への火種となってしまう。この人間の回想シーンは心にくるものがありました。

何度も繰り返すタイムリープ
唯でさえタイムリープは非現実なので想像するのもしんどいのに、「7年後で待ってる」は1回のタイムリープでは済みません。何回か行われます。
そのため「あー、○回目の時に確かそんな事あったなー」とか「あ、このキャラクターがこう言ったのは○回目の時か」みたいに、どんどん記憶がこんがらがってくる可能性が高く、実は読み手も記憶障害になりかねない危険性を秘めた作品なのです!(嘘です、言い過ぎました。)
まとめると壮大なラブストーリー
実は「7年後で待ってる」というタイトルにもなるほど大事な2人の約束は後に適わないものと判明してしまいます。
でも2人とも往生際が悪かった。約束を果たす事は無理だと分かっても、別の方法を探し謎を紐解いていき、…どれだけ物理的に不可能と分かっても絶対にあきらめない、2人の運命に抗う物語。
まさに時を超えたラブロマンスと言える、結局のところは美しいお話なのです。
なんですけど、「時を超えすぎやねん!」というつっこみがプレイしたら入ると思います。エピローグですね・・・。
しかしエピローグで本編の伏線回収が行われた時は驚きました。ちょっと忘れかけてたけど確かに「ん?」って思っていたシーンだったのでそういう事か!とすっきり。ぜひエピローグやサイドストーリーまでプレイすることをおすすめします。
