スマホアプリ版の『わすれなオルガン』のレビューです。
元々はSteamというPC用に配信されていたゲームですが、2019年4月23日にアプリでも配信となりました。
臓器を育てるゲームという一見すると非道徳的な世界観でして、しかしゲームの画面は相反するようにポップに描かれています。そのギャップに気になってしまった方は多い気がします。
実際にクリアまでプレイしてみて、どんな人向けのゲームなのかを考えてみると、、
わすれなオルガンは遊び方としてはひたすらに臓物を育成、そのためにタップしまくるゲームです。
タップゲームが好きでないと作業につらいものがあります。ただし、ストーリーと頻繁におとずれる達成感が単調さをカバーしてくれるので。大前提はタップゲームが好きな人向けですが、多少苦手くらいであれば夢中になれる要素がわすれなオルガンにはあります。
・非道徳的なテーマに興味がそそられる
・クエストが大量に並行発生するアップテンポ感が良い
・段々とにぎやかになっていく様子が見て楽しい
このあたりが理由として考えられるので、具体的にみていきます。
ゲームの基本情報
- 題名:わすれなオルガン
- 種類:タップゲーム / 育成
- 記録:手動&オート
- 画面:横向き固定
- 料金:税込480円
非道徳なテーマのストーリーについて
わすれなオルガンはただのタップゲームではなくてストーリーがあります(アドベンチャーゲームとかと比べるとボリュームは少ないですが。)
臓物育成というテーマがテーマなので、普通に考えたらさらりと凄いことを言っているな、という会話が多かったり。

そんなダークな世界観なので、命を軽んじた発言も多く、考えさせられる部分もありますが・・・。


だからといって内容としてはメッセージを主張したものではなくて、何かを感じとってもらうくらいの塩梅です。
何とも言いがたい不思議さがあります。多くを語るわけではない、というのも含めて、描き方としては綺麗です。
事細かに語ってほしい人にとっては、ストーリーについては「もやっ」とする部分があるかなとは思います。
登場人物も10人は超えない程度、と多くはなく。1人とのメインのお話とは並行して登場人物それぞれとのサイドストーリーが描かれ進行していくゲームです。


タップゲームとクエストシステムの関係性
タップゲームである、わすれなオルガンのゲーム性について。
最初はシンプルに腎臓だけを育成(→収穫→納品)するところから始まります。
横向きの画面中央付近にぽつんと置かれた、腎臓が育つ臓木。基本的に臓器は水をやらないと育たないので、画面右下のじょうろをタップしてから臓木を長押しします。

水のありなしは色によってわかる仕組みで、水が切れたらまたじょうろから水をやる、を繰り返します。
水をやってからしばらくすると臓器の実が生るので、熟したらタップで収穫できます。そしてある程度収穫できたらお店に納品する。基本はこの繰り返しです。


指定の種類と数だけ臓器を納品する、というのがクエストとして発生します。なのでやることとしては、クエストリストで何のクエストが発生しているかを確認し、必要数分だけ臓器を収穫するという流れです。

クエストをこなしていくと、合間にストーリーパートが発生、そしてストーリーの進みに応じて収穫できる臓器の種類が増えていきます。

臓器の種類だけではなくて、後にショップから生物を購入できるようになります。カエルやもぐらといった生物は育成の速度をサポートしてくれます。


あともう一つ、臓器には上物と特上物の3段階にランクがあります。

厄介なのが特上物を育成する場合。例えば一度に10個の実が成る臓木だったとして、ほおっておくと10個ができあがりますが特上物にはなりません。
4個くらいに水を集中してあたえるために、残りの6個は『間引く』という作業をしないといけないです。(とはいっても不要な実をタップするだけですが・・・。)

段々とやることが増えていって、比例してクエストもどんどん発生します。
中盤~後半は並行して多くのクエストをこなしていくことになるので、かなり忙しくて。この目まぐるしさは単調でつまらないと感じるところを忘れさせてくれる要因に思います。

段々と画面がにぎやかになっていく鑑賞性
臓器の種類は腎臓に始まり最終的には5種類育成できるようになります。
あと不要な臓器をひき肉にできる装置とか、浅漬けにする壺なんてのも。
何よりショップで購入した小さな生物たちは画面を自由に動きまわります。かなりの数に増やせたりできますし。生物は音(声)も発しますので、後半は結構ガヤガヤします。

なかなか不思議な空間に仕上がるんですけど、そういう意味では鑑賞的な要素もあるかなと。
タップの判定はシビアな件
気になるのは全体的に画面が小さいことです。最終的な配置からしたら仕方ないかもですが、タップのしづらさは否めません。文字も小さいのでなるべく明るいところでプレイした方が良いです(目を悪くしないためにも。)
文字のサイズは調整する機能があったらうれしかったですね。
タップのしづらさに関しては、タップではなくて指をすべらす感じで収穫していくとやりやすいです。
狙ったものだけ収穫するときにはピンポイントでタップする必要があるので、その場合に多少のストレスは感じました。
やはり元々がPC用ゲームだったので、スマホに合わせる難しさが出てしまった感はあります。
まとめ:作業的だがなぜかタップし続けてしまう理由を考察
わすれなオルガンはストーリーはあれども、基本はタップゲームです。
タップゲームのネックな部分はどうしても作業的になってしまう点。それはこのゲームにおいても同様で。
ただ実際にプレイしてみての感想としては、止めどきが難しいと感じました。
やはりひたすらタップし続ける部分はただの作業であり、面白いかといわれると正直「?」を浮かべます。なのになぜだかタップし続けている自分がいます。
誤解のないように補足しておくと、タップゲームが好きな人は面白いのだと思います。私はタップするだけには余り面白さを感じない人なので「これはどうなんだろう・・・」と思いながらもプレイしていました。
それでもプレイしている時は夢中になっていました。
理由を考えるに、テンポが良い点。収穫していくテンポが良いしレベルもばんばん上がる(臓木や生物にはレベルがあります)、それ以上にクエストのテンポが良いです。
段階的に必要数が増えていくクエストと、ストーリーに関するクエストと。やっぱりストーリーが気になってしまうというのもあり。
とにかくクエストの数が多いので、どんどんクエストを達成していくことになります。そうなると「あとちょっと収穫・・・あとちょっと・・・」が止まりません。

とはいえ終盤にもなるとどのクエストもハードルが高くなってきます。そうなると作業感が急に高まります。
ただ終盤まで行っていると、もうラストまで突っ走りたくなってしまうので・・・。中毒性へと誘い方が上手いゲームに思います。
最後に、セーブ画面でプレイ時間が表示されるので、私の場合はクリアまでに約8時間かかりました。

想定は10時間なボリュームです。ただしクリア(ノーマルエンド)で終わりではなくて、クリア後のやり込み要素があります。真のエンディングもあります。
そのためのハードルはかなり高いです。ちなみに私は心が折れたので断念です。笑