有料アプリゲーム『魔女の泉2』のレビューです。
「魔女は人間から迫害を受けている」という劣悪環境の中で、一人の魔女が独り立ちするまでを描いたハートフルなRPGになります。
ナンバリングタイトルの『2』ですので、『1(前作)』が未プレイの場合に大丈夫か?というのは気になると思います。
実は、魔女の泉2のストーリーの大きな軸は前作と全く同じです。
そのため、できたら前作からプレイした方がより物語が理解でき、楽しめると思います。
とはいえ2から始めても、十分に楽しめる内容にはなっていますよ。
個人的に2は1以上にストーリー部分がグッときました。なのでそのあたり感動した点を中心に。
また基本的なシステムは1を踏襲しつつも、ほぼ全てが拡充されより遊べる部分が増えた形ですので、1との違いについて。
どちらかというと前作の「魔女の泉」はプレイしたことがある人に対して、参考になる情報をまとめています。
まだ未プレイの方は、前作のレビュー記事も参考にしてみてください。
ゲームの基本情報
- 題名:魔女の泉2
- 種類:RPG
- 記録:オート+手動セーブ
- 画面:横向き固定
- 料金:iOS→490円、Android→430円
前作「魔女の泉」はプレイした方が良いか?必要性について
結論から言えば前作のプレイはわりと必須レベルで推奨します。
前作をプレイしていたからこそ楽しめた部分がかなり多かったです。
魔女の泉のサブキャラが2では主人公に
「魔女の泉2」の主人公は「ルナ」という魔女。前作にもサブキャラとして登場しているキャラです。
魔女の泉のストーリーは1も2も大筋は全く同じ。ただし主人公の違いによって描かれる視点が違います。

ルナは前作では中盤以降に登場しました。
そして魔女の泉2では前作の主人公である「パイベリー」がサブキャラとして登場します。
よって中盤以降に多く2人が接触する機会が訪れるわけですが、「あ、ここは前作にもあったイベントだ」とか「ここはこういう風に変えたんだ」とか、イベントの内容全てが同じではないので、前作を知っていることにより楽しめる部分がかなり多いです。

もちろん、物語の続きとかではなく同じストーリーですので、前作をプレイしていなくてもストーリーは楽しめます。
ですが、物語の前半においても、前作の内容を知っているからこそ伏線に気づけることも多く、「今はちょうど前作でいうとこの辺りか・・・」といった楽しみ方ができたりしますね。
プレイ順は1→2を推奨だが、難易度は1>2
前作の魔女の泉では、100日間で物語を終わらせないといけない、時間管理が大変でした。
そのためゲームの難易度は中級者以上と、RPG初心者にとってはやや難しいレベルだったと思います。
2では、前作のゲームシステムの中で最大の特徴であった「100日間という時間制限」はなくなっています。
時間配分とか気にする必要がなくなったので、急ぐ必要もなく焦らずにじっくりとプレイできます。
悪く言えば、普通のRPGになった感じですね。ゲームシステムの面で「これがあるから魔女の泉」というのがあげ難くなりました・・・。
キャラクターの成長においても、時間経過を気にしないといけなかった前作とは異なり、「修練」に必要なコストは体力とマナの値(HP、MPのこと)だけになっています(修練については、前作のレビュー記事を参照下さい。)
下記の画像はスタート直後から30分程度、ひたすら修練してキャラクターを一気に成長させた結果。しばらくはバトルがかなりヌルくなってしまいました・・・。


成長の仕方に対してリスクをなくしたのであれば、わざわざこの方式でなくとも、普通に敵を倒して経験値を稼ぐレベル制で良かったのでは?と思ってしまいます。
修練以外にもキャラクターの能力値がアップするアイテムが前作以上に用意されているので、成長のペースが前作以上に早い。
なのでゲームの難易度としては、2はかなりやさしくなった感じです。
魔女の泉のプレイ順としては、順当に1→2とプレイしていくのが望ましく思いますが、いかんせん1の難易度が少し高めですので。
先に2をプレイしてから1をプレイする順番でも良いような気がします。
どちらから始めたとしても、ストーリーは楽しめる内容になっていますので。
前作以上にストーリーを楽しむRPGへ
主人公のルナは絵に描いたような「ツンデレ」キャラでして。この属性を上手く活かしたストーリー展開になっていると感じました。

1の主人公のパイベリーはどちらかオープンな性格をしていたので、その点ではルナの『素直じゃない』性格はいじらしさがあり、好きな人多そうだなあという印象。
ストーリー展開的にもつい感情移入してしまうポイントは多かったです。
1と同様「魔女 VS 人間」の世界観
まず、世界観に関してはストーリーが同じなのもあって1と同様。
神族と呼ぶ神様と人間が元々は共存していた世界で、人間は欲から神の力を奪い、逆に神族のことを魔族(=魔女)と決め戦争を起こしてしまう。
その戦争から10年経過したところから物語は始まります。




主人公のルナ(魔女)は人間から見つからないように姿をくらませていたけども、色々と事件に巻き込まれてしまう、という流れで。
魔女 VS 人間 の構図。
子供の頃は友達だったり仲が良かった人間と、今は訳も分からず敵となってしまって、色々と酷い仕打ちを受けたり・・・。
辛い状況下におかれながらも、当然このままではダメで。
魔女は果たして人間と、どう関係性を取り戻していくのか、というのが魔女の泉の物語の焦点となります。
個人的に2の方が感情移入しやすい物語性
大きなところでは「魔女 VS 人間」というストーリーの流れ。これは1と同様です。
ただ1の場合は100日という時間制限があり、じっくりストーリーに集中する余裕がなかった要因はあります。
ですが1はあくまでパイベリーという魔女の物語で、2はルナの物語。この視点の違いは大きく。
パイベリーの場合はそもそも孤独の状態から始まる物語でした。
ルナは違います。人間や同じ神族の友達がいました。それが物語の流れの中で何回か、ルナにとって衝撃のシーンが訪れてしまう。
特に信じていた人から裏切られてしまう、という展開。結構、2は1よりも重いストーリーです。

繋がりがあるからこそ辛いという、これは何だか少し漫画でいうナルトのサスケとの対比と近い感じがしましたが・・・。
そんなパイベリーとも、どんな関係を築くのかは見どころです。前作であったシーンでも、2では台詞が違っていたり増えていたり、より表現に磨きがかかっています。
そんな紆余曲折を経ながらも、最後にはすばらしくハッピーエンドが用意されているので、素直に感動できる物語性に思います。
ボリュームは1週15時間のマルチストーリー
魔女の泉2は1同様にマルチストーリーとのことで、何周か楽しめることが前提です。
(と言いつつも私はまだ1回しかクリアしていませんが)1回のクリアまでには大体15時間程度かかるボリュームでした。
クリア時には「Clear Level」という、どの程度イベントを消化できたか、ランク付けで教えてくれます。
私の例ですが、とりあえず行けるマップは全て行きながら、やれるイベントは全て消化で進めていったところ、完全ではないですが「S」ランクでした。

なので、わりとゆっくり目にプレイしたとしても、20時間もあれば全てのイベントをこなせるボリュームかと思います。
正統な進化を遂げたシステム面、1から拡充された要素について
ストーリーに限らずシステム面においても、魔女の泉2は1と比べて全体的に進化しています。
基本のシステムは1を踏襲しているので、前作から入った人にとってはスムーズにプレイに入ることができ、正統な進化という印象を受けました。
ただ前作のシステムで最大の特徴であった時間制限がなくなった分、RPG初心者向けの難易度にはなっています。
物理と魔法のバランスが良くなったバトルシステム
主人公が魔女ということもあって、前作は物理攻撃がとにかく弱く、魔法に頼りきった戦い方をするしかありませんでした。
その点、2では改善されていて、物理攻撃の使い勝手がかなり良くなっています。それが以下の2つの追加要素。
- ターンを重ねる度に物理攻撃の回数が増えていく「最大連続攻撃回数」(最高6連撃まで)
- 魔法攻撃後に物理攻撃で魔法ダメージの半分が追加ダメージとなる「魔力再活用」
前作と比べて魔法の消費量が増えている分、物理と魔法のバランスが調整されて良くなった感じがします。

魔法においては、電撃といった属性の種類が増え、前作にはなかった回復の魔法も追加され、バリエーションが豊かになりました。
ここも1→2という、正統な進化感ありますね。

グラフィックも見やすく進化
前作の第一印象「木の表現が凄いな・・・」

2のグラフィックは大分滑らかで見やすくなっています。木も木らしい表現です。

全体マップ等、親切感がマシマシ
マップ面で大きなところでは全体マップが付いた点。
位置がわかりやすくなった以上に嬉しいのが2は1と同じ世界を冒険する、というところですね。
下記の画像は2の全体マップですが、大陸の大体左上側から物語は始まります。
実は1の始まりは地図で示している「黒い魔女の森」からでした。
こういうのは1をプレイしたからこそ楽しめる、ニヤニヤするポイントです。

その他、クエストなどの状況が把握しやすくなっていたり、全体的にもチュートリアル含め、RPG初心者でも大丈夫なような配慮がきちんとなされています。

仮想ジョイスティックの導入で操作性も改善
前作ではタップした箇所にキャラクターが移動してくれる方法しか取れませんでした。そのため、操作には慣れが必要でしたが私は最後まで慣れませんでした・・・。
2では仮想ジョイスティックの導入により、コントローラーの十字キーと同様の感覚でキャラクターを移動させることができます。
これのメリットは指を大きく動かす必要がない点ですね。
お陰でかなり楽に操作できるようになったと思います。

逆にRPG中級者~にとっては物足りなく感じるかもしれません
魔女の泉2は1と比べてかなりゲームの難易度は下がったと思います。そのため、RPGに慣れている人にとっては、特にバトル面ではヌルさが目立って物足りなく感じるかもしれません。
とにかくステータスを上げて強い魔法を覚えさせられたら、特に苦戦することなく最後までクリアできてしまう点ですね。
ボリュームもクリアまで15時間は、普通のRPGと比べてしまうとどうしても物足りなさを感じてしまいます。
ただボリュームの面は、ワンコイン以下という値段を考えると妥当かなとは思います。
そしてバトルの面も、一応ヌルさを補ってくれるのが、結構随所に隠れボスを散りばめてくれている点です。
クリア前にもクリア後にも、かなり強敵とのバトルを楽しめるコンテンツが用意されています。
クリア後に行けるマップがいくつかあるのも嬉しい限りで。
そう考えると再度値段との兼ね合いになってくるのですが、ワンコイン以下でここまで楽しめると考えると結構お値打ちに感じますね。
みんなの評判
箇条書きで簡単にですが、みんなの口コミやレビューコメントをまとめました。
ストアレビューではあまりに高評価が多いのでサクラと疑う人もいるほどですね。
一応、Twitterでもチェックしてますが「おすすめする」コメントが目立つので、見た通り高評価が多いのは事実だと思います。
魔女の泉2はここがダメ
・簡単に育成できるので、敵が弱すぎてつまらない
・メニューなどタップの反応が悪いところがある
・アイテムとペットにはソート機能がほしかった
・もう少しボリュームがほしかった
・誤字、脱字と翻訳には難あり、ストーリーが入ってこない部分も
いくつかタップの反応が悪い箇所があるのは私も感じました。特にフィールド上の画面下にあるマップを表示するボタンは押しづらいです。
あとやはり難易度の部分。何も考えずに育成しすぎるとほとんどの敵が瞬殺できてしまうので、その点をつまらなく感じる方は多かったです。
魔女の泉2はここが面白い
・グラフィック、ストーリー、ボリューム含め価格以上のクオリティ
・ガチャゲーに課金するよりも何倍も楽しめた
・クリア後に楽しめるコンテンツも豊富で、やり込み要素が多い
・主人公のキャラクター性と惹き込まれるストーリー性に感情移入が止まらない
・時間制限がなくなった分、ゆっくりRPGできて良かった
値段に対するクオリティを考えた場合のコスパの良さ。そして1から続けてプレイした人に対する仕掛けの多さ、並びにストーリーの良さ。
「寝る間も惜しんでゲームをプレイしまくっていた昔の感覚がよみがえった」なんてコメントがあったり、わりと夢中になってプレイした人が多くいる印象です。
特に主人公の可愛らしさとストーリーに対する評価の高さが目立ちます。
個人的総評:独自性は薄れたが、前作以上にストーリーにドラマを感じた
前作は「100日の時間管理」という独特なシステムにやり応えを感じました。
その点からしたら、時間管理を大胆になくしてしまった2は、独自性が薄れ普通のRPGになってしまった印象は強かったです。
さらに難易度的な部分での物足りなさも強く感じました。
しかしその反面、2の場合はストーリーが魅力的です。
物語の大筋は前作と全く同じではあります。ただ2の主人公は、前作で中盤以降に登場したサブキャラだったにも関わらず、印象的に描かれていたキャラクターで。
それが2で主人公として描かれることで、彼女の背景がとてもドラマティックに描かれ、個人的にはそれが心に刺さるストーリーでした。

前半~中盤にかけて辛い展開が続き、でも最後はハッピーに締めてくれる、綺麗なカタルシスに昇華していくタイプの物語。
エンディングでは思わずうるっときてしまいました(もちろんラストの展開を批判するレビューコメントも見受けられるので、捉え方は人それぞれです。)
まとめると、1は時間管理に追われていた分、じっくりとストーリーを楽しむ余裕がなかったように思います。
2ではつい先が知りたくて進めたくなるようなストーリー展開を、1とは違い余裕を持って楽しめる仕様になっています。
個人的には1より2の方がおもしろかったです。