有料アプリゲーム『魔女の泉3』のレビューです。
魔女の泉のナンバリングタイトル3作目。1、2作目とは雰囲気が変わっています。
今度の魔女はペットではなく、人形を使います。そのため、バトルシステムもだいぶ手が加えられていました。
個人的に1では100日間という制限内にクリアしないといけないシステムの斬新さに驚き、2では心温まるストーリー展開に感動しました。
3はストーリーももちろん良かったのですが、バトルシステムが前作以上に要素が増えて楽しめる内容になっていたのが良かったかなと思います。
このレビューではバトルシステムについて他、ストーリー展開においては前作と比べてどうだったか。またUIや操作性の細かい部分で気になるところが多かったのでそのあたりの話をまとめています。
ゲームの基本情報
- 題名:魔女の泉3
- 種類:RPG
- 記録:オート+手動セーブ
- 画面:横向き固定
- 料金:iOS→490円、Android→480円
ナンバリングの3作目。しかし過去作未プレイでも問題ありません
魔女の泉2は1と主人公の視点が異なるだけで基本は同じストーリーだったので、1をプレイした方がより楽しむことができました。
3の場合はどうかというと、実は世界観や時間軸上は1や2と同じ内容です。
しかし、物語の内容は全く別物。
というのも1と2の舞台はバべリア大陸という同じ大陸です。3ではデルカル大陸という別の舞台。よってほとんどが新キャラクターになります。

ただ、全く関わらないかというと…、イメージとしては同時進行で1と2の物語が別の大陸で繰り広げられているような感じです。
そのため、1と2をプレイ済みだとより楽しめるのは間違いなく。とはいえ3は新しい物語ではあるので、3から始めたとしても問題なく入り込んでいけると思います。
ストーリーについて。背景は前作同様、行きつく先は恋愛要素も同様
魔女の泉3のストーリーは新しく描かれていますが、大きな括りでの魔女の泉の世界は、1つの共通な世界観のもとに作られています。
「魔女 VS 人間」の世界観は1から変わらず
フォーカスが別の大陸に移ったとしても、魔女の泉の世界では「魔女 VS 人間」の構図に変わりはありません。
3の主人公である魔女「アイールディ」も、1と2の魔女同様に人間から隠れて森の中で暮らしていたのですが、1人の男性と出会うことで彼女の心は成長していくこととなります。
というのも3のストーリーは「人形魔女、アイールディの物語」

物語冒頭ではおばあちゃんに育てられたというのがわかるだけで、出生に関して等々は特段、語られることもなく…(後半になって色々とそのあたりは判明することになります。)
なぜか人形に囲まれていて、アイールディは人形に話しかけて、人形に生命力を宿したりと、かなり3ではミステリアスな雰囲気から始まります。
そしてアイールディもまた人形魔女というだけあって感情の起伏は全く感じられず、淡々とした喋りで、心は空っぽのように感じられます。


2と3では似たようなストーリー展開。キャラの好みで判断は分かれます
実はざっくりした見方でストーリーを眺めてみると、概ね2の展開と似通っている印象があります。
これは「魔女 VS 人間」の構図をテーマとしているから、どうしても大きなストーリー展開は同じような道筋を辿ってしまうのは仕方のないことなのかなと。
何というか、ストーリーの波の形が同じなんですよね。背景に壮大なテーマがあれども、どちらか恋愛要素が強い物語です。

ただし、2と3では主人公の性格が全く違いますので、表現は全然異なります。
具体的には、2は内心気づきつつもツンで素直になれない性格の主人公がどうデレていくのか、という展開。
かたや3は恋愛感情を知らない主人公がどういう風にその感情に気づいていくか学んでいくか、という展開。


感情が豊かな分、個人的には2の方が感情移入できた部分が大きかったので、私の場合は2のストーリーの方が好きです。
ただしこれはキャラの好みによって変わってくると思います。
心に刺さる台詞の紹介。おばあちゃんの信頼への考え方が深いです
物語の中盤でアイールディは初めて心に大きなショックを受けてしまいます。

そんなアイールディに対しておばあちゃんが素敵なアドバイスをするんですけど、この時の台詞は個人的に魔女の泉3の中で一番刺さった台詞です。
物語のテーマが重たいだけあってか、非常に考えさせられる深い言葉に感じました。


1周15時間のボリューム、途中ルート分岐あり
下の画像は私が1周目をクリアした時のプレイ時間。約16時間ですね。

わりとゆっくり目にプレイしていたので、ボリュームとしては余裕をもっても15時間程度あればクリアできるかなと思います。
ゲームがワンコインで買えることを考えると、このボリュームに不満はないですね。
それに魔女の泉はマルチエンディングが用意されていますし、3の場合は物語中盤で大きくルート分岐します。

さらに、クリア後にも追加コンテンツが豊富に用意されているので、完全クリアを目指そうと思ったら20~30時間は余裕で遊べるのではないかなと思います。
バトルについて。前作以上に改変、コマンドの選択肢が増えた
戦闘システムについては、いくつか前作であった要素が踏襲されつつも、結構新しい要素も加わってバリエーションが増えた感じです。
ただ魔女というわりに、今作では魔法よりも物理攻撃の方が強くなりやすくなっているのが、どうなのかなとは思いました。
物理と魔法そしてバフや支援と、バリエーションが豊富なバトルシステム
下の画像はバトル画面でのコマンド選択時です。項目の多さがわかると思います。

やれることはざっくりと以下の通り。
・剣術(物理攻撃)は体力を消費しての多連撃攻撃。最大7連撃
・魔力剣術。マナを消費して魔力や魔法ダメージに比例した付加効果を剣術に付与したり
・魔法攻撃。マナを消費し属性によって付加効果や、攻撃直後の敵からのダメージ減少値が変動
・人形召喚。マナを消費し人形によって主人公にバフをかけたり敵に攻撃したり、最大3体まで召喚可能
・防御。防御力アップと解除時に体力とマナの値が回復
・霊石。貯まった値によって体力とマナの回復。最大値まで貯まった状態で一度戦闘不能を回避
基本的には多連撃が可能な物理攻撃が強いんですけど、魔法は範囲攻撃できるのと、属性によって直後の敵から受けるダメージ量が変わるというのがポイントで。
強い敵に対しては物理と魔法のバランスを取る必要があります。
キャラクターの成長は修練システムを踏襲
修練というのは1や2にもあった仕組みで、実行すると修練内容に応じて各ステータスの値がアップします。
つまり、魔女の泉にはレベルという概念がないのが特徴です。

特定の敵を倒すと戦闘後にパラメーターがアップしたりもありますが、基本的にはアイテムか修練がキャラクターを成長させる主な行動で。
修練は何度も行えるわけではなくて、一定の時間(行動)経過かサブクエストの消化によって、修練可能な回数が増えていきます。
修練の目的にはもう1つ、剣術や魔法陣などや、またアイテムを精製可能なランクが修練内容によってランクアップするので、修練を重ねることでバトル時の選択肢がどんどん増えていく形ですね。

あと修練で1つわかりにくいのが日数経過。
魔女の泉3は1のように日数が加算されていくんですけど、主には修練によってで、1回の修練で5日間の日数が経過します。
ただこの日数って、どうもストーリーには影響しなさそうで。修練の日数経過については少しゲーム内での説明が足りないように感じました。
どうしても1のこと(100日という日数制限)があるので、日数が経過となると「あまり経過し過ぎると何かに影響してしまうのでは?」と思ってしまいます。
ノーリスクであればそれはそれで説明がほしかったところかなと。
#一応、ストーリー上で修練による日数経過をしないと次の展開に進まない、といったイベントはあります
ちなみに以下は主人公の初期ステータスと、私の例でクリア時のステータス値の画像です。


この画像では見えないですが、最終的には300日が経過しています。が、「だから何だろう…?」という感はあります。
そしてステータスでは力が非常にあがりやすいですね。必然的に段々と物理攻撃ゴリ押しになっていきます…。
RPG中級者以上には物足りないゲーム難易度
修練によるキャラクター成長の仕組みのデメリットとして、ゲームバランスを取り難くする部分があると思っていて、正直私は疑問を抱いています。
敵を倒して経験値を獲得するレベル制の場合、道中に出現する敵を普通に倒して到達するレベルが大体のゲームでは基準となっている、もしくはボスのレベルが適性の参考値だったりしますよね。
レベル制ではない場合はその目安がないので、プレイヤーにとっては「どこまでキャラクターを成長させるべきなのか」判断に迷います(まあ普通に考えて敵を倒せるくらいまで成長させれば良いわけですが…。)
基本的には修練可能な限りキャラクターを成長させてしまうのですが、まずわりと修練できる回数が増えやすい仕組みになっている点。
そしてバトルシステムにおいても、魔女の泉3は回復の方法(機会)が非常に多いです。
例えば以下の通りで。
・霊石の生命力による回復(敵を倒して得られる生命力からも回復可能)
・防御で回復
・人形の能力で回復
・霊石がMAXだと1回だけ戦闘不能を回避できる
体感的には魔女の泉2よりも、ゲームの難易度としては簡単に感じました。
クリア後ではかなりの強敵と戦えたりはしますが、少なくともストーリー中の戦闘においては1回も苦戦することはなかったです。

操作感や画面について。文字が見づらく改悪された感あります
前作以上に今回は気になる点が多かったです。ざっとあげてみますが…。
文字サイズが小さすぎる件
これは見て頂いた方が一目瞭然で、文字サイズの小ささについては今回一番気になりました。



前作はあまり気にならなかった部分なので「なぜ!?」と非常にびっくりしています。
戦闘時のタップ操作は1回多い…?【テンポ感への影響あり】
気になったのは以下の2点です。
- 人形を召喚する際に、どの場所に召喚するかタップで位置を決める必要あり
- 魔法は真ん中の円に魔法陣をスライドしてセットしてからのタップで発動



多分、どちらも演出だとは思います。
ただ個人的には演出の必要性よりも、「その1クッションいるかな?」という疑問の方が強かったです。
例えば人形であれば、召喚した位置によって効果が変わるなど必要な動作であれば理解できますが…。
特段、見当たらなかったので、であればテンポ感の方を重視して頂きたかったのは本音ですね。
敵が複数体密集していると、ターゲットの選択が思う通りにいかない
結構、狙った敵ではなくその隣の敵が選ばれることが多かったので、複数体いる場合はターゲットの選択時にタップする場所への注意がいります。

仮想ジョイスティックは斜め操作が行い難い
下の画像の場所だけ、私の場合どうしても仮想ジョイスティックによる操作では、階段を上ることができませんでした。
そのためわざわざタップによる移動に設定を切り替えてと面倒でしたが。他にも何箇所か移動中にストレスを感じる所はありましたね…。


みんなの評判
箇条書きで簡単にですが、みんなの口コミやレビューコメントをまとめました。
全体的には絶賛している人が多い印象です。
魔女の泉3はここがダメ
・バトルの難易度が低い(クリア後の強敵含め)
・操作性が悪い、ロード時間が長い
・レビューで絶賛されているほどは面白くない
・ストーリーの無理やりな恋愛話に興ざめ
・日数経過のシステムが意味不明
・誤字脱字、不適切な日本語表現が気になる
やはり簡単すぎるという、難易度の点を指摘している方は多かったです。
あとこれはシリーズ通してですが、翻訳の不自然な点が気になる人は毎回ちらほら見かけます。
ただ全体的には面白かったという声が圧倒的ですので、上記にあげた点が特段多いというわけではないです。
魔女の泉3はここが面白い
・このクオリティをワンコインでプレイできるのはすばらしい(コスパ最高)
・シンプルながらも中毒性のあるゲーム性
・育成の自由度が高くて良い
・グラフィックやイベント中に挿し込まれるスチル絵が綺麗
・各キャラの個性が立っていて、王道なストーリーも良い
・戦闘がサクサク進めて爽快感あり良い
みんなのレビューコメントを見ていると、バトルよりもストーリーの評判が高かったのが意外でした。
グラフィックの評判も良いので、相乗効果もあると思います。
また、皆さん口をそろえて言うのはコスパの良さですね。ワンコインでこのボリューム、このストーリー展開、そういった部分に満足している方が多い印象です。
個人的総評:バトルの多連撃は爽快感あり、ストーリーのラストどんでん返しは良かった
最後に個人的な総評です。
正直、ストーリーは前作の方が感動しました。
しかし、これはキャラに対する好みの部分が大きいと思います。ストーリー自体は王道的な展開でありながらも、最後にひとひねりあって、退屈さは全く感じませんでした。
ただ恋愛部分に関しては賛否両論あるかなと思っていたら、やっぱりという感じですね。
逆にバトルについてはかなりやれる事が増えていたので、進化が感じられました。
もう少し育成部分にリスクを設けさせてゲームバランスが整いさえすれば、最後までバトルを楽しめたような気がします(どうしても強くなりすぎて中盤以降はずっとヌルゲーになってしまったので…。)
今回のレビューでは色々と気になる点もあげましたが、それは2と比較したからであって、純粋な感想としては(ワンコインというコスパの良さは加味してしまいますが)とても面白かったです。