「人の一生が永遠になったら、人はどのような生き方をするのか。」
非常に考えさせられる物語で、魔女の泉シリーズとしても1つの大きな区切りとなる4作目。
4つ合わせて1つの作品とも言えるくらいに、すばらしい名作でした。
ストーリー、バトル、BGM。全てにおいてシリーズ1の完成度に思います。
前回の3の記事では過去作は未プレイでも楽しめますと書いたのですが、ちょっと4をプレイしたら考えが変わりましたね…。
シリーズのプレイ順は確信をもって1⇒2⇒3⇒4の順。私の場合は4作合わせたトータルのプレイ時間は約60時間です。
2,000円程で60時間遊べると考えたらかなりコスパ良いのではないかと。
この記事では魔女の泉4を中心に、4のストーリーとバトルの何が面白いか、クリア後のコンテンツまで全てプレイした上で見えてきた魔女の泉4の魅力についてまとめています。
ゲームの基本情報
- 題名:魔女の泉4
- 種類:RPG
- 記録:オート+手動セーブ
- 画面:横向き固定
- 料金:iOS→610円、Android→550円
シリーズ過去作含めると総プレイ約60時間のボリューム!
シリーズタイトルですので、過去作品はプレイした方が良いのか気になる方はいると思います。
また、その場合にはプレイ時間がどの程度かかりそうなのか。タイトルごとにおよその目安を並べてみました。
魔女の泉シリーズ過去作「1~3」のプレイは必須か?
結論からいうと、4をプレイしてみて、1~3のプレイはかなり必須レベルと確信しました。
理由としては世界観のみならず、物語の流れは1→4で全て繋がっている点。
(魔女の泉の世界は3つの大陸で構成されています。仮にA大陸、B大陸、C大陸とすると、1と2の舞台はA大陸で3の舞台はB大陸、そして4の舞台はC大陸、という関係性になります。)

1~3の出来事が4への伏線になっていたり、逆に4をプレイすることで1~3の出来事を深く理解できたり、間違いなく過去作を知っていると面白さが倍増します。
4を最後までプレイして、ようやっと魔女の泉の物語を完全に理解できるという感じです。
あと1~3との繋がりという部分では、特に4は時間軸がすばらしいんですよ。
↓の図は、魔女の泉各作品の時間軸を比較しています(※あくまでざっくりなイメージです。)

棒の長さは全部同じなので開始位置は適当です。注目するのは1と2のストーリーが終わっているタイミングですね。
1と2のここの出来事というのが、魔女の泉全体で見た時には起承転結でいうと「転」に当たる重要なイベントで。
3ではそのタイミングはわりと終盤だったのですが、4はかなり早めに…中盤あたりでその転機が訪れます。
4はそこからが非常に面白いんです。
一気に魔女の泉4から一つの「魔女の泉」という大きな作品に変わる感じです。
だから過去作をプレイしていると「このキャラは!?あのキャラも!!」と胸アツな展開が怒涛の勢いでやってきて感動します。
多分、過去作をプレイしていないと「ふーん」で終わる気がして、それは非常にもったいなく思います。
魔女の泉4のクリアまでは約20時間
プレイ時間はいつもの如く、ゆったり目のプレイで20時間程度でした。一般的には15~20時間のボリュームで、4作品の中では一番長いです。
そして魔女の泉は必ずエンディング後にも追加コンテンツがあるのですが、4の場合は2時間程度は楽しめます。
ちなみに過去作含め、各作品エンディングまでのプレイ時間の目安は下記となります。
- 1…10時間
- 2…15時間
- 3…15時間
- 4…20時間
合わせると60時間程度のボリュームですね。
4の魔女は小さな王様【成長が嬉しいストーリー!】
ここからは魔女の泉4のストーリーについて。簡単に見どころの紹介です。
主人公としては珍しい価値観と絶対的な自信
今作の魔女(主人公)の名前は「モカモリ」

プロローグでは幼い頃に両親を人間に殺され、魔力が暴走してしまうシーンが描かれます。
そしてその悲劇をきっかけにモカモリは誓います。
人間は一生が短いからこそ多くを手に入れようとして、そのため争いが生まれるのだと。
であれば全ての人間に永生を与えることで、争いも悲しみもない平和な世界を作ろうと。
そのためには世界中の魔力を集めないといけない。どんな手を使っても、強制的にも…。

魔女としての絶対的な力をもって、人間たちの小さな王様として君臨するのが、今作の物語が過去作とは大きく異なる点です。
1~3の主人公はスタートは人間たちから逃げ伸びていた。4の主人公は逆に人間たちを支配する立場をとっているのが面白いところで(賛否両論なところでもあります。)
だけどやっぱり一筋縄ではいかなく、むやみな圧力では当然反発が生まれます。
それでも、モカモリは自分がやっていることは絶対的に正しいと信じ込んでいるので、聞く耳持たずで強引に事を進めようとします。
しかし力があるとはいえ、まだ子供ではあるので、上手くいかないことや何度も試練が訪れたり、中々人間のことが理解できなくて葛藤したり…。
果たして、モカモリはただの勘違い王様で終わるのか、それとも他者を想いやれる真に人々を導く器になれるのか。ここが4のストーリーでは見どころに思います。

間違った考えの主人公がどう成長するのかを見守る物語
面白いのがモカモリの考えって、他のRPGとかでは敵側がもっていたりというのはあるんですけど、味方がそれも主人公がというのは珍しいと感じました。
プレイヤーが操作する対象がなんということか、敵が持つ思想を抱いてしまっている。
何が起こるかというと、共感できないので段々と主人公に対してイラつきます(笑)
前半は主人公への反感に耐えられるか勝負なところが正直ありました。
「まあでもどう考えても主人公は変わってゆく流れでしょう」と。
その期待はあったので、逆に「どう変わっていくのだろう?」と楽しみに変換できた部分は大きいです。
また、4の主人公の思想というのは、言うなれば1~3の主人公たちとは真逆なんですよね。
この構図は見ていて面白いんですよ(とはいえやはりここも賛否両論…。)
「どうなっていくんだろう…」と中盤以降の展開は非常にワクワクしました。
展開に関しては伏線含め、丁寧に(子供が大人の考えを身につけるための経験として必要な)イベントが配置されていて。
「果たして主人公は最後の最後で、どの境地に落ちつくのか?」
子供の成長を親の視点で見守るかのような、そんな気持ちにもさせてくれる内容でした。

戦いはシリーズ一の演出で魅せる【インフレ爆発バトル!】
ここからはバトルシステムについて。
攻撃方法は「爪攻撃」と「魔力爪」そして「魔法」と、ベースは前作を踏襲していますが、今作では一定ダメージが蓄積すると発動できる「魔力覚醒」という派手な必殺技が熱いです。
ただしダメージインフレには要注意。
いつもとは明らかにおかしいパラメーターの桁
ここが1~3とは異なり、大胆に変えた部分ですね。
魔女の泉4の成長システムは少し特殊で、まずステータスは「基本能力」に「霊石」というボーナスが加わります。
加わるというと足し算な感じですが、実際はかけ算です。2倍、3倍、4倍とどんどん増えていきます。
霊石は敵を倒すことでレベルアップしていくので、ここは一般的なRPGの経験値システムと同じです。ただ、レベルアップしていく度に増え方が2倍、3倍、4倍なので、上がり幅はとんでもなく…。

基本能力の方も霊石とは別に成長していきます。こちらは、魔女の泉シリーズおなじみの「修練」システムによって。
4の修練は3の時とは少し違って、マップ移動や敵とのバトル経過で徐々に修練効率の%がたまっていきます。
修練効率が100%の時に修練を行うと、一番ステータスが上昇する形です。効率が落ちた状態でも修練はできますが、基本能力はあまり上昇しない、という感じですね。
この修練効率の仕組みが加わったことで、前作のようにあまりに簡単に成長できてしまう、ということは抑えられました。
育成においてもバランスが良い方向に調整されたのではないかと思います。

そして修練にはさらに6つの内容があり、どのステータスが上昇するかが変わってきます。
そして6つの内容にはそれぞれ「格闘」「体力」「筋力」「魔法」「精神」「魔力」と対応したレベルがあり、それぞれの内容で修練を一定回数こなすと対応のレベルがアップ。
レベルアップすると新しい技を覚えたり、防御時の効果がアップしたりと、色んな恩恵が得られます。


つまりは、どこからステータスを強化していくかはプレイヤーの自由である点。また、少しの基本能力の上昇でも、霊石のボーナスでバトル時のステータスはだいぶ変わってきます。
基本能力と霊石と、この2つの成長要素のバランスは中々面白い仕組みになっていると思いました。
ただステータスが倍々で上がっていくということは、ダメージも加速度的にインフレ化していくんです。
そもそも開始直後の基本能力が既にHP1058と4桁いっていますから…。
↓は私のプレイで2章のタイミングですが、基本能力と800%霊石がたまった状態の戦闘能力のステータス画面です。


2章の時点で(物語は全5章)HPは既に5桁いっています。しかしこのステータスは普通のRPGではレベル5程度です多分(笑)
果てしなくステータスは上昇し、比例してダメージ量も爆発的にインフレ化していくのが魔女の泉4のバトル。

正直、ここまで桁を上げる必要があったのかは疑問です。個人的にはHPは50くらいからのスタートでも良いのでは?と思ってしまいますね…。
必殺技は3Dカットが入った派手な演出に進化
バトル中は画面右下に「魔力覚醒ゲージ」というものが存在します。
ゲージは敵からダメージを受けるなどで増加。
ゲージが貯まると特別な技が解放され、ゲージ半分でヌークというペットのドラゴンによる攻撃が可能に、全部貯まると専用のバトルコマンドに変化します。
その際には3DCGによるカットシーンが演出として。これは3までにはなかった演出です。
ダメージ量もかなりの威力で、戦局をひっくり返すほど。4はわりと敵が強いので短期決戦なところがあり、必殺技の使いどころが大事になってきます。

次に通常の攻撃ですが、種類は大きく3パターン。
・爪による「物理攻撃」
・爪に付与効果を与える「魔力爪」
・魔法陣の組み合わせで威力が変わる「魔法」攻撃
影響するステータスが「力」なのか「魔力」なのかというところはありますが、同じ物理攻撃でもいくつか性能の異なる技があります。
例えば、以下のような要素(魔力爪や魔法も含む)
・攻撃と同時にHP回復
・各種範囲攻撃(円形、直線上、全体)
・大きな敵に多段ヒットする効果を爪に付与
・敵を電撃などの属性攻撃から弱くする
・敵に火傷などの属性効果を与える
・3ターン我慢すると強力な攻撃
・攻撃内容によっては次ターンがくる時間が遅くなる 等々
3では物理攻撃の能力値の方が成長しやすかったですが、4だと魔力(魔法系)の方が成長しやすいです。
かといって魔法は後半、MP消費量が異常なほど高かったりしますので、実はバランス良く育てた方が後々良かったりとか…。
決して魔法やスキルの数がたくさんあるわけではないのですが、うまく物理と魔法のバランスは調整されているように感じました。

ペットシステムは王様らしく部下を召喚へ
魔女の泉のバトルといえば、主人公をサポートしてくれるペット(3では人形)の存在が一つユニークなポイントでした。
4でも同様の存在はいます。ただし、4の場合は王様らしく、ペットではなく「部下」です。
バトル中の好きなタイミングで部下を無理矢理召喚します(これ、どんな状況でも強制的に呼び出すから、リアルに考えると結構鬼畜な行いですね…笑。)


部下によって色んな効果(攻撃方法)があるのは従来通り。
部下というところで熱い点をあげると、ストーリーとリンクして増えたりする点ですね。
最初から複数人が召喚された状態で始まるバトルがあったりとか。
あと部下の中にはイベントで成長して攻撃が進化することがあって、こういうのも熱いポイントかなと思います。
中盤以降は強敵揃いで歯ごたえのあるバトル
シリーズ通してではありますが、魔女の泉はわりと序盤から強敵とのバトルが可能です。というか現時点では絶対に勝てそうにない敵が普通にフィールドに配置されていたりします。
そのため敵のステータスを見て、この敵は勝てる勝てそうにないの判断が必要です。

慣れていない内はこの判断が難しくはあります。ただ、そろそろ倒せそうだとなったら強い敵に挑戦しにいく、というのはバトルにおいての醍醐味かなと思います。
特に4はステータスの桁がインフレなのもあって、個人的にはバランス調整は難しかったのではないかなと…。
そのためわりと中盤以降は一気に敵が強くなったり、歯ごたえのあるバトルが楽しめます。
また、詳細は書かないでおきますが、時にはプレイヤーを驚かせるような特別なやり方のバトルもありました。
なので4のバトルは結構、シリーズを通しても一番バラエティに富んだバトルであったように思いました。
難点は3より操作性が悪くなった点
操作性については前回の3のレビューでも1つだけ悪い点を書いた気がしますが、3よりも仮想ジョイスティックの操作がやりづらくなった印象なんですよね…。
変に慣性みたいなのが働くというか、言葉では説明しにくいですが、つっかかって進みづらい場所が多かったです。
例えば↓の画像。真ん中にある階段を上から下に降りようとしてもなぜかつっかかって行けない…。仕方なく回り込むみたいな(下から上は普通に登れます。)

一応、致命的に進めない場所はなかったので、問題なくクリアはできます。ただ移動に関して多少ストレスがあったという感じですね。
みんなの評判まとめ
箇条書きで簡単にですが、みんなの口コミやレビューコメントをまとめました。
魔女の泉4はここがダメ
・起動するまでが長い
・UIや操作性が悪い
・ストーリーに感情移入できない、内容が薄い、過去作キャラの扱いが悪い
・次の目的が不明瞭で迷うことがある
起動が重いと操作性が悪い点をあげている方は非常に多かったです。
あと意外とストーリーに対する評価は低いのかなと。やはり主人公のわがままっぷりにどこまで耐えられるか勝負のようです。
そして過去作キャラの扱いについて。
ちょっとネタバレになるのであまり書けませんが、過去作のキャラとは展開的に少しドロドロとした感じになるのですが、ここには賛否両論あるようで(どちらか否が多い印象。)
実は過去作のキャラクターに愛着をもっている人ほど、今作での扱い方には不満を感じる人が多いのかなと感じました。
魔女の泉4はここが面白い
・価格に対するボリュームのコスパが最高
・グラフィックはシリーズ一進化している
・コツコツとアイテム収集や育成していく楽しみがある
・前作の敵が弱すぎるという点が改善。バトルの歯ごたえが増した
グラフィックに関しては特に間に挿し込まれるスチルが綺麗という声が多く。スチルはシリーズ通して魔女の泉の表現の特徴の一つですが、4は一番多かったように思います。
かなり絵には力が入っている印象はありました。

総合的には評価はとても高いです。
【個人的な総評】じわじわくる面白さ、最後はストーリーとバトルの演出ともに感動!
「何だこの主人公、全く共感できない!」
ストーリーの序盤はそんな気持ちばかり続きました。
バトルにおいても序盤はやれることが少ないので、どうしても行動が決まってしまいます。
なので、序盤は耐えることが多いかもです。
魔女の泉4は中盤以降から加速度的に面白くなっていきます。
特にストーリー部分は、起承転結でいうところの転が一気にたたみかけるように変化していく感じで。
ストーリーとリンクしたバトルの演出も終盤は熱かったです。
極めつけはラスボス戦。
まさかの特別なカメラワークが用意されていて、構図や演出に関しては脱帽でしかなかったです。
加えて、詳しくはネタバレになるので書きませんがラスボス戦のパーティーメンバーですね。
これぞ「最後の戦い!」という感じ。男性は好きな展開に感じる人が多いと思います。
もし興味があり、過去作をまだプレイしていないのであれば、時間とお金に余裕があったらぜひ1からプレイしてみて下さい。
魔女の泉の世界観にじわじわとハマっていく心地良さを得られると思います。